科学

潮汐現象

月と太陽が、目に見えない透明なゴムひもで地球の海水を引っぱっては放す、宇宙の綱引きです。

  • 約3分
  • 図 2点
  • 2026-10-17 検証

定義

潮汐現象とは、月と太陽が地球を引く万有引力と、地球と月の公転運動による遠心力の差によって、海面の高さが周期的に上下する現象です。韓国の海をはじめ多くの場所では1日に約2回上がり下がりしますが、海の形によっては1日1回の場所もあります。海水が陸地に向かって押し寄せる流れを「満ち潮」、そうして海面がいちばん高くなったときを「満潮」と呼びます。反対に水が引いていく流れが「引き潮」、いちばん低くなったときが「干潮」です。

月が海水を引っぱります

海辺の砂浜にレジャーシートを広げて遊んでいると、いつの間にか波が足元まで来ていた、という経験はありませんか。海水が勝手に揺れているのではなく、宇宙に浮かぶ巨大な天体が地球の海を引っぱっているからです。なかでも地球にいちばん近い月の引力が、もっとも決定的な役割を果たします。

月にまっすぐ向き合う側の海は、月の重力を強く受けて、月のほうへふくらみます。反対に、地球の裏側の海は月からいちばん遠くて引力が弱く、地球と月がいっしょに回ることで生じる公転の遠心力のせいで、反対方向にふくらみます。こうして地球の海水は、両側に伸びたラグビーボール形の楕円体をつくります。

地球は1日に1回自転しているので、私たちはこのふくらんだ海の領域を、1日におよそ2回通り過ぎることになります。このとき海水が陸に向かって押し寄せる流れが満ち潮で、そうして海面がいちばん高くなった瞬間が満潮です。反対に水が引いていく流れが引き潮、海面がいちばん低くなった瞬間が干潮です。流れを指す言葉と瞬間を指す言葉は別物だと覚えておきましょう。

太陽も綱引きに参加します

海水を引く宇宙の綱引きに参加しているのは、月だけではありません。太陽は月よりずっと遠くにありますが、大きさが比べものにならないほど巨大なので、この綱引きにも一役買っています。ただし、潮汐を起こす力(起潮力)は、距離が離れるととても急速に弱くなります。そのため、太陽が潮汐を起こす力は、ずっと近い月の約45%にとどまります。

月と地球と太陽が、宇宙空間で一直線に並ぶ日があります。旧暦(太陰暦)の月末や満月のころがまさにそうです。このときは月と太陽の引力が同じ方向に重なって、海水をいちばん強く引っぱります。その結果、満ち潮と引き潮の高さの差が1か月でもっとも大きくなる大潮が起こります。

反対に、上弦の月や下弦の月のように、地球を中心に月と太陽が直角をなす時期もあります。このときは2つの天体がそれぞれ違う方向に海水を引き、力が分散します。引力が打ち消し合って、海面の高さの差がいちばん小さくなる小潮がやってきます。

もう少し正確にいうと

月の重力だけで海水が動くと考えがちですが、正確には、地球上の場所ごとに受ける重力の差と、公転の遠心力が合わさった起潮力によるものです。水だけでなく、地球の硬い岩石の地殻もこの力を受けて、1日に数十センチメートルほど、ごくわずかに上下しています。

潮汐現象は、海の生態系や私たちの暮らしにも大きな変化をもたらします。引き潮のときに底を見せる広い干潟は、数多くの海の生き物のすみかであり、海をきれいにろ過する浄化槽のような役割も果たします。海面の高さの差が大きい韓国の西海岸では、この力を利用して電気をつくる潮力発電所も稼働しています。

また、海水が陸地にぶつかるときに生じる摩擦力は、地球の自転速度をごくわずかに遅くしています。そのせいで、およそ100年に0.002秒ほど、1日の長さが少しずつ延びているというのも、潮汐現象が生んだ驚きの結果です。

よくある誤解

誤解

潮汐現象は月の引力だけで起こる。

事実

太陽の影響も月の約45%とかなり大きいです。月と太陽の位置関係によって、満ち潮と引き潮の高さの差は周期的に変わります。

日常で出会う場面

  1. 韓国の西海岸の干潟で貝を掘っていて、満ち潮の時間になり、海水が上がってくる前に急いで外へ出る場面です。

  2. 満ち潮と引き潮の大きな水位差を利用してタービンを回す、韓国の始華湖(シファホ)潮力発電所の発電のしくみです。

つまり ひとことで

月と太陽が海水を引っぱることで、海面が周期的に(多くの場所では1日に約2回)上下する現象です。

作成 2024-12-29 更新 2026-10-17 検証 2026-10-17