科学

月の満ち欠け(月の位相変化)

暗い部屋の片隅に懐中電灯を固定して、ボールを持ったまま自分の周りをゆっくり回したときに見える、ボールの明るい部分の形です。

  • 約3分
  • 図 1点
  • 2026-10-13 検証

定義

月の満ち欠けとは、地球の周りを回る月が太陽の光を反射するとき、地球から見える明るい部分の形が変わる現象です。月そのものの形が変わるのではなく、月が地球を公転するにつれて、私たちが月を見る角度が変わるために起こります。

光を受ける半分と、地球から見る角度

暗い部屋の真ん中に丸いボールを置いて、片側からだけ懐中電灯で照らすところを想像してみてください。ボールは光が当たる側の半分だけが明るく、反対側の半分はずっと暗いままです。宇宙に浮かぶ月もまったく同じです。

太陽の光を正面から受ける月の半分は、いつも明るく輝いています。けれど、月を見る私たちの立ち位置は地球の表面に決まっています。月が地球の周りをぐるぐる回る間に、私たちが月の明るい面を見る視線の向きが、毎日少しずつ変わっていきます。

あるときは明るい面を真正面から見て、あるときは光と影の境目を斜めから眺めることになります。夜空の月の形が変わるのは、月が変化しているからではなく、地球から見える明るい面の割合が変わるだけなのです。

見えない月から、まん丸の満月まで

月の変化は、太陽・月・地球がつくる角度に応じて、きちんと順番に進みます。月が太陽と地球の間に来ると、光を受ける明るい面はすべて太陽側を向き、地球に向いた面は丸ごと影の中になるため、夜空に月がまったく見えません。この瞬間を、月末(晦日)を過ぎて迎える朔(新月)と呼びます。ちなみに月はいつも同じ面を地球に向けているので、満ち欠けに関係なく、私たちが見ているのは常に月の同じ側です。

月が地球の周りを西から東へ少しずつ移動すると、日本のような北半球から見て、右端がか細い眉のように光る三日月になります(南半球では左右が逆に見えます)。さらに数日たつと、右半分がくっきり明るくなった半月、上弦の月になり、夕暮れ時に南の空で簡単に見つけられます。

やがて月が地球をはさんで太陽の反対側に来て、明るい面全体が見えるようになると、まん丸の満月が昇ります。その後は左半分だけが残る下弦の月を経て、左端だけが残る有明月(ありあけづき)になり、また朔に戻って、約29.5日の周期がひと巡りします。

もう少し正確に言うと:地球の影のせいではありません

月の形が変わる理由を、地球が月に影を落とすからだと思っている人はたくさんいます。けれど、地球の影が月を隠すのは、年に数回しか起こらない特別な現象、月食のときだけです。月食は、月が地球の影の中にすっぽり入る、めったにない出来事です。

普段の月の形の変化は、影に隠れて起こるのではなく、ただ太陽の光を受けた明るい半球を、地球から見る角度が変わる現象です。窓辺に立ってリンゴを腕の長さだけ前に持ち、自分がその場でゆっくり一回転すると、リンゴの明るい面の見え方が変わるのと似ています。

もう少し正確に言うと、月が地球を一周する本当の公転周期である恒星月は約27.3日です。ところが、月が地球を回る間に地球も太陽の周りを進んでいるため、同じ形に戻る周期である朔望月は、約29.5日と2日ほど長くなります。

よくある誤解

誤解

月の形が毎日変わるのは、地球の影が月を隠すからだ。

事実

地球の影が月を隠すのは月食という特別な天文現象です。普段の月の形の変化は、月が太陽の光を反射する明るい面を、私たちが違う角度から見ているために起こります。

日常で出会う場面

  1. 真っ暗な部屋で丸い電球をつけ、ボールを持ったままその場でゆっくり回ると、ボールの明るい部分が三日月から満月のような形へと変わっていきます。

  2. 旧暦の日付は月の満ち欠けを基準につくられていて、旧暦1日は月が見えない朔(新月)の日、旧暦15日ごろには丸い満月が昇ります。「十五夜」のお月見がまさにこれです(いちばん丸くなる望の瞬間は旧暦15〜16日ごろが多く、まれに14日や17日になることもあります)。

つまり ひとことで

月の満ち欠けは、月や影が変化するのではなく、月が公転しながら太陽の光を反射する明るい面を、地球から見る角度が変わることで起こる現象です。

作成 2026-05-25 更新 2026-10-13 検証 2026-10-13