定義
簡易帳簿は、韓国の国税庁が、零細な小規模事業者のために作った簡略な帳簿です。難しい会計の知識がなくても収入と支出を簡単に記録できます。家計簿をつけるように、毎日の取引を日付順に書くだけで、総合所得税(韓国の個人事業者などが申告する所得税)の申告のときに正式な帳簿として認めてもらえます。
お小遣い帳みたいにやさしい、小規模事業者の頼れる家計簿
お店を開いたばかりのころ、複雑な会計ルールがわからないからといって、帳簿づけを最初からあきらめる必要はありません。大企業や会計の専門家がつける正式な帳簿は、「借方」と「貸方」という左右の欄をぴったり合わせながら書く複式簿記(左右に分けて記入する、きちんとした会計方式)を使います。専門外の人が身につけるには、ハードルがかなり高いのです。
一方、簡易帳簿は、子どものころに使ったお小遣い帳や、毎日つける家計簿とほとんど同じ作りです。今日どんな商品が売れていくら入ってきたか、お店の家賃や食材の仕入れにいくら出ていったかを、日付順に一行ずつ書くだけでいいのです。
専用の会計ソフトがなくても、エクセルやノート一冊に、日付・取引内容・収入・支出を中心に順番に書けば大丈夫です。車や機械のように長く使う事業用の資産を買ったり売ったりしたときは、その増減もあわせて書きます。収入と支出の流れがきちんと見えるように記録されていれば、国税庁も正式な帳簿として認めてくれるので、誰でも気軽に始められます。
もう少し正確に言うと、誰でも使えるわけではありません
もう少し正確に言うと、事業をしている人なら誰でも簡易帳簿を使えるわけではありません。韓国の国税庁は、新しく事業を始めた新規事業者や、前年の売上が一定の金額を下回る小規模な個人事業者にだけ、この便利な特例を認めています。
たとえば、農業、卸売・小売業、不動産売買業は前年の収入が3億ウォン未満、飲食店業や製造業、宿泊業などは1億5千万ウォン未満であれば、簡易帳簿を使えます。サービス業や不動産賃貸業などは基準がさらに低く、7,500万ウォン未満である必要があります。しかも、医師、薬剤師、弁護士、税理士のような専門職の事業者は、売上の大きさにまったく関係なく、最初から必ず複雑な複式簿記で記帳しなければなりません。
事業が軌道に乗って年間の売上がこの基準を超えると、翌年からは自動的に「複式簿記義務者」に切り替わります。ですから、自分の事業の業種ごとの売上基準がどこに当てはまるのか、前もって確認しておくと安心です。
帳簿をコツコツつければ、税金が減ります
帳簿をまったくつけず、政府が定めた一定の割合でざっくり税額を計算して納めると、実際には赤字だったり経費をたくさん使っていたりしても、それを証明できず、思わぬ高額の税金を負担するおそれがあります。反対に、簡易帳簿を毎日きちんとつけておけば、食材費、電気代、消耗品費など、お店の運営にかかったお金のすべてを必要経費として認めてもらえ、所得税を大きく減らすことができます。
さらに、政府が用意しているお得な特典もあります。簡易帳簿の対象者がもう一歩がんばって、会計ソフトを使ったり税理士の助けを借りたりして「複式簿記」の方式で申告すると、税金を最大100万ウォンまで20%も減らしてくれる記帳税額控除を受けられます。この控除は適用期限を決めて延長されてきた制度なので、年度によって適用されるかどうかが変わることがあります。
反対に、簡易帳簿すらつけないと、算出税額の20%にあたる無記帳加算税が課されることがあります。ただし、新規事業者や、前年の収入金額が4,800万ウォンに満たない小規模事業者には、この加算税はかかりません。毎日5分だけ帳簿をつける習慣は、事業を守るもっとも確実で安全な節税の武器です。
よくある誤解
簡易帳簿は個人のメモにすぎないので、税務署では効力がない。
簡易帳簿は、韓国の国税庁が法的に公認した正式な帳簿です。総合所得税の申告のときに証拠書類として使われ、作成後は5年間保管しなければならない法的な義務があります。
自営業者なら、売上に関係なく一生ずっと簡易帳簿だけでよい。
事業が成長して前年の売上が業種ごとの基準を超えると、自動的に複式簿記義務者に変わるため、必ず複式簿記で記帳しなければなりません。
日常で出会う場面
近所のカフェのオーナーが、毎日、コーヒー豆の仕入れのレシートとカード売上の明細を、日付順にエクセルへ一行ずつ記録します。
初めてネットショップを開いた店主が、送料や梱包資材の費用を家計簿のように簡易帳簿に書き込み、総合所得税を節約できました。
つまり ひとことで
小規模事業者が家計簿のように日付順に収入と支出を書くことで、税金を合法的に減らせる、韓国の国税庁公認の簡略な帳簿です。