経済

単純経費率と基準経費率:韓国の推計申告で使う経費率

レシートを一枚ずつ取っておけなかったとき、国が「この業種ならだいたいこれくらい使っただろう」と見積もって経費にしてくれる、公式の割合表です。

  • 約4分
  • 図 1点
  • 2026-10-13 検証

定義

韓国で、事業者やフリーランスが1年間に使った費用を帳簿に記録できなかったとき、韓国国税庁が業種ごとの平均的な支出割合をもとに、課税の基準となる経費を代わりに計算してくれる推計の割合が、単純経費率と基準経費率です。

レシートがなくても税金を申告できる理由

事業をしたりフリーランスとして働いたりすると、1年間の収入(売上)から仕事で使ったお金(必要経費)を引いた純利益に対して税金を払います。ところが、始めたばかりの小さな事業者や忙しいフリーランスにとって、レシートを一枚ずつ集めて家計簿のような帳簿をつけるのは、とても面倒で大変です。

そこで税務署は、「この業種は普通、収入の何%くらいを経費に使っている」という、あらかじめ調べた統計を活用します。帳簿がなくても納税者が損をしすぎないよう、おおよその支出を見積もって認めてあげるわけです。このように実際の帳簿なしで、見積もりで計算して申告する方法を「推計申告」と呼びます。

推計申告のとき、いくらを経費として認めるかを国が公式に決めた割合が、まさに経費率です。おかげで、帳簿をつけられなかった小規模事業者も、政府が決めた支出の認定割合に沿って、複雑な書類なしに経費を認めてもらい、所得を計算できます。

もしこの制度がなければ、レシートを取っておけなかった駆け出しの店主さんは、稼いだお金の全額が純利益だと見なされ、払いきれないほどの税金を課されていたでしょう。経費率は、事業の立ち上げ期の事務負担を軽くするための、税法上のセーフティネットのようなものです。

単純経費率と基準経費率の決定的な違い

経費率は、事業者の収入規模に応じて大きく「単純経費率」と「基準経費率」の2つに分かれます。単純経費率は、前年の収入が業種ごとの基準額より少ない事業者や、その年の収入が一定の基準を超えない新規事業者に与えられる大きな特典です(医師・弁護士など一部の専門職は除きます)。韓国国税庁が「レシートを個別に確認しなくても、稼いだお金の一定割合を経費に使ったと認めますよ」と、たっぷり差し引いてくれる方式です。割合は業種ごとに違い、収入の半分をかなり超える場合も多くあります。

反対に、事業が少しずつ軌道に乗って収入が基準線を超えると、基準経費率の対象に変わります。ここからは、国が自動的に認めてくれる経費の割合が、業種ごとに単純経費率よりずっと低くなります。残りの支出を経費として認めてもらうには、3つの主要経費のレシートや証憑を事業者自身が集めて、国税庁に証明しなければなりません。

ここで必ず証明が必要な3大主要経費は、店で売る商品を仕入れた材料費(仕入費用)、毎月かかる店舗の家賃(賃借料)、そして一緒に働く従業員に払った給料(人件費)です。この3つの費用の証憑書類がないと控除を受けられず、大きな損になります。

結局、単純経費率はレシートがなくても大部分の費用をまとめて認めてくれる寛大な制度で、基準経費率は肝心の証憑がないと経費として認められる幅が大きく減る、厳しめの制度だといえます。ただし、単純経費率で計算した所得金額に法定の倍率をかけた金額を超えないようにする、上限の仕組みもあります。

もう少し正確にいうと:売上が増えるほど帳簿が必須になる理由

事業1年目に単純経費率が適用されたからといって、翌年も同じとは限りません。どちらの経費率を使うかは主に前年の収入で決まり、前年の収入が業種ごとの基準額を超えると、次の申告からは基準経費率の対象になるからです。

基準経費率の対象になったのに、以前のようにレシートも集めず帳簿もつけないでいると、すぐに深刻な事態にぶつかります。認めてもらえる基本の経費割合がかなり低いため、実際は赤字だったとしても、経費率で推計した計算上は大きな利益を出したことになり、思わぬ重い税金の負担を受ける可能性があります。

さらに、一定規模以上の事業者が帳簿をつけずに推計申告をすると、帳簿を作成しなかったことへのペナルティとしての「無記帳加算税」まで追加で払うことになります。認められる経費は減り、加算税まで上乗せされるわけです。

逆に、帳簿をつけておけば、経費率で見積もる代わりに、実際に使った費用をもとに所得を計算して申告できます。自分がどの経費率の区分なのかは、韓国国税庁のオンライン申告サービス「ホームタックス(Hometax)」でも案内しています。

よくある誤解

誤解

レシートをまったく集めなくても、経費率制度でいつでも税金を大きく減らせる。

事実

レシートがなくても大部分の費用を認めてもらえるのは、収入が少ない単純経費率の対象者だけです。収入が増えて基準経費率の対象になると、レシートがなければ認められる経費が大きく減り、税金がかなり増えることがあります。

日常で出会う場面

  1. 単純経費率が80%の業種で、開業1年目の収入が2,000万ウォン(約220万円)なら、1,600万ウォン(約176万円)が経費として認められ、残りの400万ウォン(約44万円)が所得として計算されます。

  2. 年収が5,000万ウォン(約550万円)になったフリーランスが基準経費率の対象になったのに、家賃や材料費のレシートを一枚も取っておかず、税金が大きく増えてしまったケースです。

つまり ひとことで

帳簿をつけられなかったとき、政府が代わりに支出を見積もって計算してくれる割合です。単純経費率は小規模事業者向けに高い割合を一括で認める方式で、基準経費率は主要な証憑を自分で証明しなければならない、限定的な認定方式です。

作成 2026-02-17 更新 2026-10-13 検証 2026-10-13