定義
音が空気・水・固体といった媒質(波を伝える物質)の中を伝わって広がっていく速さのことです。音は物質をつくる粒子どうしがぶつかり合って振動を伝えるしくみで進むため、周りの環境や物質の状態によって、進む速さが大きく変わります。
稲妻が光ったあとに雷鳴が聞こえる理由
雨の日、空でピカッと稲妻が光ってから、しばらくしてゴロゴロドーンという雷鳴が聞こえた経験があると思います。稲妻と雷鳴は雲の中でまったく同じ瞬間に起きているのに、なぜ私たちにはバラバラに感じられるのでしょうか?
その理由は、光と音が目や耳に届く速さがまるで違うからです。光は1秒間に地球を7周半もするほど想像を絶する速さですが、音は空気中では1秒間にたった340メートルほどしか進みません。
つまり、稲妻が光った瞬間から心の中で数を数えて、3秒後に雷鳴が聞こえたなら、その雷は今いる場所から約1キロメートル離れたところに落ちたことになります。音は目に見えませんが、同じ空気の中では空気の粒子の振動がほぼ一定の速さで隣へ隣へと伝わりながら広がっていきます。
水中や鉄パイプの中では音がずっと速くなります
音は、何もない宇宙空間ではどれだけ大声を出してもまったく進めません。音を伝えてくれる空気の粒子がないからです。映画に出てくる宇宙船の爆発音は、実は科学的には聞こえるはずのない音なのです。
音とは、物質をつくる小さな粒子が隣の粒子をトンと押して、元の位置に戻る振動のことです。ですから、粒子どうしがバネのように強く結びついているほど、ひとつの粒子が揺れるとすぐに隣が引っ張られて、振動がずっと速く伝わります。音の速さは、物質がどれだけぎっしり詰まっているかよりも、どれだけしっかり結びついているかに大きく左右されます。
空気よりも粒子どうしが強く結びついている水中では音が約4倍速く、鉄や鋼のような硬い固体の中では空気の実に15倍も速く伝わります。西部劇で、遠くから近づいてくる列車にいち早く気づくために、線路にぴったり耳を当てていた理由がまさにここにあります。
もう少し正確に言うと、気温によって変わります
音速というと、秒速340メートルという数字を、決して変わらない固定の値だと思いがちです。しかし、空気中の音の速さは、周りの気温によって絶えず変化します。
気温が上がると、空気の分子が熱エネルギーを吸収して、それまでよりずっと活発に、速く動き回るようになります。分子自身が速く動くので、隣の分子とぶつかって音の振動を伝えるまでの時間も、その分大きく短くなるというしくみです。
実際、摂氏0度のとき音は1秒間に約331.5メートル進みますが、温度が1度上がるごとに、秒速がおよそ0.6メートルずつ着実に速くなります。教科書や日常でおなじみの代表的な音速である秒速340メートルは、実は摂氏15度前後の穏やかな空気の状態を基準にして測った値なのです。
よくある誤解
音の速さは、いつでもどこでもまったく同じである。
音の速さは、通り抜ける物質(空気・水・固体)の密度や弾性、そして周りの温度によって常に変わります。
宇宙でも、巨大な惑星が爆発すれば轟音が鳴り響く。
音は粒子の振動を伝って広がるため、伝えてくれる空気の分子がまったくない宇宙の真空状態では、どんな音も進めません。
日常で出会う場面
遠くで打ち上がる花火を見ていると、華やかな光が先に見えて、1~2秒後にドンという音が聞こえます。
プールの水中でバシャバシャと立てた音は、水を伝って空気中の約4倍の速さで広がっていきます。
つまり ひとことで
音は物質の粒子の振動を伝って進み、粒子がしっかり結びついた固体ほど速く、空気中では気温が高いほど速く伝わります。