定義
サブスクのバンドル(サブスクリプション・バンドリング)とは、動画配信、音楽、クラウドストレージのように、別々にお金を払っていた複数のデジタル定額サービスをひとつにまとめ、割引価格で提供する販売方法です。利用者は複数のサービスをまとめて支払い、手軽に管理できます。企業は顧客を自社のプラットフォームに長くとどめられます。
ハンバーガーセットのように、まとめて使うデジタルの世界
お昼にハンバーガーとポテト、ドリンクをバラバラに注文するとけっこう高くなりますが、セットメニューにすると割引価格で楽しめます。デジタルの世界のサブスクのバンドルも、まったく同じ仕組みで動くサービス商品です。
Netflixやディズニープラスのような動画配信サービス、MelonやSpotifyのような音楽ストリーミングアプリ、ショッピングの送料無料特典などを、ひとつのセット料金プランにまとめて売る形です。たとえば、音楽サービスと映画サービス、写真を保管するクラウドストレージをそれぞれ別々に契約すると毎月2万5千ウォンほどかかりますが、バンドルにすると1万6千ウォンほどですべて使えるようになる、といった具合です。
利用者は毎月の支出の合計を大きく節約できるだけでなく、支払いや管理の手間も減らせます。いくつものサイトにカード番号をいちいち登録したり、バラバラの支払日をいちいち気にしたりする必要がなく、1回の支払いですべての特典を受けられるからです。
さらに、サービスを提供する側にとっても、すでに人気の高い看板サービスの力を借りて、知名度がまだ低い新しいサービスを自然に利用者に試してもらえる、すぐれた入り口になります。
プラットフォーム企業がサービスをまとめる本当の理由
企業が価格を大きく下げてまで複数のサービスをまとめて売る大きな理由のひとつは、お客さんを自社サービスの囲いのなかに長くとどめておくロックイン効果(Lock-in)です。
動画サービスだけを使っている顧客は、観たかったドラマやバラエティ番組が終わると、いつでも簡単に解約します。けれども、動画だけでなく、毎日聴く音楽、スマートフォンの写真バックアップ用クラウド、ショッピングの送料無料までひとまとめになっていたら、退会ボタンを押すのはとてもためらわれます。
ひとつやふたつのサービスが少し気に入らなくなっても、暮らしに深く溶け込んだほかのセット特典をまるごと手放すのは、あまりにももったいないからです。顧客が解約しようとしても、生活全体にわたる特典の価値を思い浮かべて契約の継続を選ぶ、そんな心理的な防壁ができあがるわけです。
結局、企業は毎月決まって入ってくる安定した固定収入を確保でき、顧客がライバルのプラットフォームに流れる離脱率も下げられます。新規顧客を呼び込むためにかかる莫大なマーケティング費用も、大きく節約できます。
もう少し正確にいうと:技術と財布のジレンマ
もう少し技術的な視点から見ると、バンドルがなめらかに動くためには、異なるプラットフォームのシステムを目に見えない形でひとつにつなぐ技術が支えになっている必要があります。バンドルによっては、企業はシングルサインオン(SSO)と、データをやり取りするための取り決めであるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使い、利用者がひとつのIDでまとめられた複数のサービスを、パスワードを入れ直さずに自然に行き来できる環境を整えます。
システムの裏側では、支払いと利用権の情報がサービス間で同期されます。1つの会社が複数のサービスを直接運営しているバンドルなら、利用パターンをもとにおすすめを磨くこともあります。ただし、サービス間でどんなデータをどこまで共有するかは、バンドルや利用者の同意の範囲によって変わります。
その一方で、利用者の側には「サブスク疲れ」や隠れたムダが生まれやすくなります。実際によく使うのは動画ひとつだけなのに、パッケージに含まれているからという理由で、まったく使わないサービスの料金まで毎月払い続ける幽霊サブスクの罠にはまることがあるからです。
セット割引の錯覚のせいで、使ってもいない機能に余計なお金を払ってしまわないためには、パッケージに含まれるサービスを実際にどのくらい、まんべんなく使っているかを定期的に点検する習慣がぜひ必要です。
よくある誤解
サブスクのバンドルは、個別に契約するより必ず利用者にとって得である。
パッケージのなかに普段使わないサービスがたくさん含まれていると、必要なサービスをひとつだけ単独で契約するより、毎月の支払い総額がかえって大きくなることがあります。
日常で出会う場面
Apple One:Apple Music、Apple TV+、Apple Arcade、iCloudの容量を、ひとつの料金プランにまとめて提供します。
韓国の通信キャリアによるOTT(動画配信)セット:スマートフォンの料金プランにYouTube PremiumやTVING(韓国の動画配信サービス)の利用権を組み合わせ、個別に払うより安く使えるようにします。
つまり ひとことで
サブスクのバンドルは、複数のデジタルサービスをまとめて割引と便利さを与えてくれますが、企業のロックイン戦略が込められているので、実際にどれだけ使っているかをしっかり確かめる必要があります。