定義
語順とは、文の中で主語・述語・目的語といった言葉のパーツをどんな順番で並べるかを決めた文法のルールです。頭の中の考えを言葉にするとき、単語を一列に並べる基本の型になります。言語ごとに並べる順番が違うので、外国語を学ぶときに最初にぶつかる壁にもなります。
電車の車両をつなぐように、単語を並べるしくみ
おもちゃの電車を組み立てるとき、機関車の後ろに貨物車をつなぎ、客車を続けていく決まった順番がありますよね。文も同じで、主語(だれが)、目的語(何を)、述語(どうする)をどの順番でつなぐかというルールがあります。
日本語は「私はりんごを食べる」のように「主語→目的語→述語(SOV)」の順で話します。ちなみに韓国語も同じSOVです。いっぽう英語は "I eat an apple" のように「主語→述語→目的語(SVO)」の順に単語を置きます。主人公のすぐ後に動作が来るのか、動作の対象が先に来るのか、という違いです。
世界の言語を調べてみると、日本語のようなSOV言語と英語のようなSVO言語が、調査された言語の大部分を占める二大タイプです。正確な割合は、どの言語をサンプルに選ぶかによって変わります。述語が文頭に来るVSO言語もありますが、目的語が文頭に来る言語は地球上でとても珍しいです。
自由な日本語と厳格な英語のちがい
日本語では「太郎が花子を好き」を「花子を太郎が好き」と語順を入れ替えても意味が通じます。単語の後ろにつく「が」や「を」のような助詞のおかげです。助詞が名札の役割をしてくれるので、単語の位置がぐらついても、だれがだれを好きなのかがはっきりわかります。
いっぽう英語には、単語の後ろにつく助詞がありません。単語が置かれた「場所」そのものが身分証明書です。だから "Taro likes Hanako" の二人の位置を入れ替えて "Hanako likes Taro" にすると、花子が太郎を好きという正反対の文になってしまいます。
このように言語は、語順が比較的自由なかわりに助詞が発達したり、語順が厳格なかわりに助詞がなかったりして、バランスをとる傾向があります。もちろん、いつもきれいに二つに分かれるわけではありません。語順は単なる習慣ではなく、言語の設計全体と深く結びついているのです。
もう少し正確に言うと:語順と情報が明らかになる順番
「日本語は最後まで聞かないとわからない」とよく言われます。結論を決める述語が文の一番最後に来るからです。「あなたを愛して…いない」のように、最後の言葉が出るまで肯定か否定かが決まらない構造です。
反対に、述語が主語のすぐ後に来る英語は、"I don't love you" のように、肯定か否定かが文の前半でわかります。大事な動詞が前のほうに来るので、どんな行動なのかが早い段階で見えてくるのです。
研究者たちは、語順が単なる並び方の違いを超えて、人の情報処理の順序や考え方にも影響するのかどうかを、ずっと研究しています。ただし、語順が考え方そのものを変えるのかどうかについては、研究者のあいだでもまだ意見が分かれています。
よくある誤解
語順が自由な日本語は、文法のルールがゆるい言語だ。
日本語は語順が比較的自由なかわりに、「助詞」という精巧な文法の道具が、単語の役割をはっきり教えてくれます。文法がゆるいのではなく、役割を表す方法が違うだけです。
日常で出会う場面
日本語は「私は(主語)ごはんを(目的語)食べる(述語)」と言いますが、英語は "I(主語) eat(述語) rice(目的語)" と言います。
日本語では飾る言葉がたいてい前に来ますが(例:「赤いりんご」)、スペイン語やフランス語のような言語では、名詞の後ろから飾ることが多いです(例:「りんご 赤い」)。
つまり ひとことで
語順とは文の中で単語を並べるルールのことで、言語ごとに単語の組み合わせ方や情報を伝える順番を決めています。