一般常識

韓国語の格助詞:語の「役割ラベル」

文という舞台に立った言葉たちに「あなたは主役」「あなたは相手役」と役柄を決めてくれる、名札のようなものです。

  • 約4分
  • 図 1点
  • 2026-10-13 検証

定義

韓国語の文法で、格助詞とは、文中で単語のあとにつき、その単語がどんな役割(資格)を持つかを決める文法上の名札のことです。日本語の「が」「を」「に」「の」にあたるもので、韓国語では語順が入れ替わっても、あとにつく格助詞のおかげで、誰が主体で何が動作の対象なのかがひと目でわかります。

名札ひとつで変わる、文の中の役割

舞台の俳優は、主人公の衣装を着るか悪役の衣装を着るかで、役柄ががらりと変わります。単語も同じです。「철수(チョルス・人名)」という名詞のあとに何がつくかで、文中での立場があっという間に決まります。

たとえば「철수」に「-가(ガ・が)」がつくと、「何がどうする・どんなだ・何だ」の主体になる主語になります。主語はたいてい動作をする側ですが、いつもそうとは限りません。いっぽう「-를(ルル・を)」がつくと、動作の対象になる目的語になります。「철수가 영희를 불렀다(チョルスガ ヨンヒルル ブルロッタ・チョルスがヨンヒを呼んだ)」と「영희를 철수가 불렀다(ヨンヒルル チョルスガ ブルロッタ)」は、語順をまるごと入れ替えても、あとについた名札のおかげで呼んだのがチョルスだという事実は変わりません。

このように、体言(名詞・代名詞・数詞)にぴったりくっついて、文中での明確な資格を与えてくれる助っ人を、格助詞と呼びます。

韓国語の7種類の格助詞の名札

韓国語には、大きく分けて7種類の格助詞の名札が用意されています。主役をつくる主格助詞(이/가(イ/ガ)、께서(ッケソ・敬語の「が」))、「〜だ」と説明する言葉をつくる叙述格助詞(이다(イダ・〜だ))、対象を指す目的格助詞(을/를(ウル/ルル・を))がいちばん代表的です。

そこに、誰のものかという所有を表す連体格助詞(의(ウィ・の))、動作が起こる時間・場所・道具を教える副詞格助詞(에(エ・に)、에서(エソ・で)、로(ロ・で/へ))、相手を呼ぶときに使う呼格助詞(아/야(ア/ヤ・〜よ))、そして「되다(トェダ・〜になる)」「아니다(アニダ・〜ではない)」の前で対象を補う補格助詞(이/가(イ/ガ))が加わります。

英語では単語が置かれる位置の順番が文法上の役割を決めますが、韓国語では単語のしっぽにつく格助詞が役割を決めます。そのため韓国語は、述語が最後に来るという枠の中で、主語や目的語などの語順を入れ替えても意味がよく通る、柔軟な性質を持っています。日本語を知っている方なら、「が」「を」「に」が語順を支えているのと同じ仕組みだと考えるとイメージしやすいでしょう。

もう少し正確に言うと:「은/는」は格助詞ではありません

韓国語を学ぶとき、いちばん混乱しやすいのが「은/는(ウン/ヌン・は)」です。多くの人が「은/는」を主格助詞だと思っていますが、実は「은/는」は資格を与えるものではなく、特別な意味を添える「補助詞(日本語でいう係助詞に近いもの)」です。

もう少し正確に言うと、格助詞は文の成分の骨組みとなる資格だけを与え、補助詞は「対比」や「強調」といったニュアンスを添えます。「철수가 밥을 먹는다(チョルスガ パブル モンヌンダ・チョルスがご飯を食べる)」は単純な事実の説明ですが、「철수는 밥을 먹는다(チョルスヌン パブル モンヌンダ・チョルスはご飯を食べる)」は、チョルスを話題として取り上げたり、ほかの人と比べたりする対比のニュアンスを帯びることがあります。

補助詞は、本来格助詞が入る位置にすっと入って代わりに使われることもあります。そのため見た目だけでは混同しやすいのですが、文の中で本当にどんな役割を果たしているのかを、格助詞の原理から確かめれば、簡単に見分けられます。日本語の「は」も「が」とは働きが違いますから、感覚的にはそれに近いと言えます。

よくある誤解

誤解

「은/는(ウン/ヌン・は)」は、文の主役を表す代表的な主格助詞である。

事実

「은/는」は文法上の資格を与える格助詞ではなく、「対比」や「強調」の意味を添える「補助詞」です。本当の主格助詞には、「이/가(イ/ガ)」「께서(ッケソ)」「에서(エソ・団体を主語にするとき)」などがあります。

日常で出会う場面

  1. 「철수가 영희를 불렀다(チョルスガ ヨンヒルル ブルロッタ・チョルスがヨンヒを呼んだ)」と「철수를 영희가 불렀다(チョルスルル ヨンヒガ ブルロッタ・ヨンヒがチョルスを呼んだ)」は、助詞が入れ替わっただけで、誰が誰を呼んだのかが逆になります。

  2. 「선생님께서 학교에 가신다(ソンセンニムッケソ ハッキョエ カシンダ・先生が学校へ行かれる)」の「께서」は敬意を表す主格助詞で、「에」は場所(方向)を表す副詞格助詞です。

つまり ひとことで

格助詞は、単語のあとについて、主語や目的語などの文法上の資格を与えてくれる名札です。

作成 2025-02-04 更新 2026-10-13 検証 2026-10-13