経済

韓国の週52時間勤務制

1週間という「時間のコップ」から仕事があふれ出さないようにする、「安全ラインの目盛り」です。

  • 約3分
  • 図 1点
  • 2026-10-13 検証

定義

韓国の労働基準法に基づき、1週間に働ける最大時間を52時間と法律で定めた制度です。1日8時間×週5日の基本労働時間40時間に、労使が合意すれば増やせる時間外労働12時間を足して計算します。働きすぎを防ぎ、休む権利を守るために導入されました。

52時間という数字はどうやって決まったのでしょう?

スマホのバッテリーを昼も夜も使い続ければ、いずれ本体が壊れてしまいますよね。人の体と心も、休みなく働き続ければ不調をきたします。そこで法律は、1週間に働ける時間に絶対に超えてはいけない安全ラインを引いたのです。

ベースになるのは法定労働時間(法律で決められた基本の労働時間)である週40時間です。1日8時間を週5日働くと、ちょうど40時間になります。ただ、会社の事情で忙しい日もあるため、会社と労働者が合意すれば、1週間に最大12時間まで追加で働かせることが認められています。

この基本の40時間と時間外の12時間を合わせた数字が52時間です。つまり、業務が立て込んだとしても、1週間全体で52時間を超えて働かせることは法律で厳しく禁止されています。ただし、常時5人未満の事業場、運送業・保健業などの一部の特例業種、監視・断続的労働者や管理・監督職のように労働時間の規定が適用されない一部の労働者は例外です。また、災害の復旧や突発的な業務の急増など特別な事情があるときは、韓国の雇用労働部(日本の厚生労働省にあたる官庁)の認可と労働者の同意を得れば、例外的にさらに働くことができます。

以前はなぜ68時間まで働けたのでしょう?

実は以前も、法律上の基本労働時間(40時間)と時間外労働の上限(12時間)は今と同じでした。それでも週末を返上して1週間に68時間も働く会社が多かったのは、法律の解釈に抜け穴があったからです。

以前は「1週間」という言葉を、平日5日間(月~金)だけに狭く解釈していました。そのため、平日の基本40時間に平日の時間外12時間を働かせたうえで、週末の土曜日と日曜日の勤務は「休日労働」という別枠として、それぞれ8時間ずつ計16時間を上乗せできると考えられていたのです。

その結果、40+12+16で合計68時間という長時間労働が可能になっていました。しかし法改正により、「1週間は休日を含む7日間すべて」と明確に定められました。今では平日の残業でも週末の休日出勤でも関係なく、7日間に行ったすべての時間外労働を合計して12時間以内に収めなければなりません。

もう少し正確に言うと — 柔軟な働き方と現実の課題

世の中のすべての業種が毎週同じように動いているわけではありません。ゲームの発売直前やエアコン生産の繁忙期のように、特定の時期に業務が爆発的に集中する分野もあります。そうした現場に毎週一律で52時間を守れと言うと、会社が回らなくなるおそれがあります。

そこで法律は、弾力的労働時間制(日本の変形労働時間制に近い仕組み)のような例外の仕組みを用意しています。忙しい特定の週は基本労働時間を40時間より長くし、余裕のある別の週は短くして、定めた期間(最長6か月)の平均の基本労働時間を週40時間に合わせる方式です。そのため、忙しい週は時間外労働も加えて52時間を超えて働くこともあります。

制度が定着して、夜の時間を自分のために使える人は増えましたが、新たな課題も生まれました。残業代に頼っていた労働者は収入が減ることがあり、中小企業は人手を追加で採用しにくく苦労しています。労働者の健康と企業の生産性のバランスを探る過程は、今も続いています。

よくある誤解

誤解

週52時間勤務制のせいで、週末の出勤は法律上まったくできない。

事実

週末出勤そのものが禁止されているわけではありません。週末の勤務を含めた7日間の労働時間が52時間(基本40時間+時間外12時間)以内なら、週末も働けます。たとえば平日に40時間働いた場合、週末は最大12時間まで可能です。

日常で出会う場面

  1. 平日5日間、毎日8時間働き、平日に残業を合計12時間した場合、週末は1分も追加で働くことはできません。

  2. 平日に残業が一切なかった場合、土曜に8時間、日曜に4時間(合計12時間)出勤して働くのは合法です。

つまり ひとことで

週52時間勤務制は、週末を含む7日間で、基本40時間に時間外労働12時間までしか働かせないよう、韓国の法律で上限を定めた制度です。

作成 2026-01-24 更新 2026-10-13 検証 2026-10-13