科学

光速不変の原理

どんなに速く追いかけても、光だけはいつも同じ速さで逃げていくように見える、その理由のお話です。

  • 約3分
  • 図 2点
  • 2026-10-13 検証

定義

誰がどんな速さで動きながら測っても、真空中の光の速さはいつも同じ値で測定される、という原理です。光に向かって走っても、光に背を向けて遠ざかっても、測定値は変わりません。私たちが慣れ親しんだ速度の足し算が、光の前では通用しないということです。

走るバスの中で投げたボール

走っているバスの後ろの席から、前の席の友だちにボールを投げるところを想像してみましょう。同じバスに乗っている友だちから見ると、ボールはごく普通の速さで飛んできます。ところが、窓の外からこの場面を見ている人には、違って感じられます。

外から見ると、ボールにはバスの走る速さまで上乗せされて飛んでいくからです。バスが速いほど、ボールも速く見えます。私たちが暮らす世界では、速さはこのように足したり引いたりすればぴったり合います。

自転車で友だちに追いつくときも同じです。友だちと並んで同じ速さで走ると、友だちは止まっているように見えますよね。誰がどんな速さで動いているかによって、同じ物体の速さが違って見えるのです。

だから速さを測るときは、いつも「誰が見ているのか」を一緒に考えます。この足し算のルールは、ボールでも車でもよく当てはまります。ところが、たった一つだけ、このルールに従わないものがあります。

バスで懐中電灯をつけたら

今度は同じバスの中で、ボールの代わりに懐中電灯を前に向けて照らしてみましょう。さっきのルールどおりなら、光もバスの速さの分だけ速くなるはずです。ところが、実際に測ってみると、そんなことは起こりません。

バスの中で測っても、窓の外に立って測っても、その光の速さは同じ値になります。光に向かって走っても、光に背を向けて逃げても、結果は変わりません。ボールには通用した足し算が、光の前ではぴたりと止まってしまうのです。

光の速さは、真空中で秒速約30万キロメートルです。1秒間に地球を7周半ほど回れるほどの速さですね。この値は、測る人がどれだけ速く動いていても、同じ数字になります。

最初は、測定装置がおかしいのだと考えた人もたくさんいました。しかし、方法を変えて何度測り直しても、結果は同じでした。結局、光の速さは特別なのだと受け入れられるようになりました。

もう少し正確にいうと

ここで不思議なことが出てきます。速さとは、進んだ距離を、かかった時間で割った値ですよね。速さが変わらないのだとしたら、代わりに何かが変わらなければなりません。

その答えは、私たちが変わらないと信じていた時間と長さです。バスに乗っている人と道端に立っている人とでは、時計の進み方が少しずつ違います。光の速さを守るために、時間と長さが代わりに伸びたり縮んだりするのです。

ただし、この原理は真空中を進む光についての話です。水やガラスの中を通るとき、光はこれより遅く進みます。また、バスくらいの速さでは、時間のずれがあまりにも小さくて、私たちの目にはとらえられません。

ですから日常生活では、投げたボールのように速さを足したり引いたりしても問題ありません。光に近いほど速くなったときに、ようやくこの話が目の前に現れ始めます。

よくある誤解

誤解

光に向かって速く走りながら測ると、光の速さはより速く測定される。

事実

誰がどんな速さで動きながら測っても、真空中の光の速さは同じ値になります。速さを足したり引いたりするルールは、光には通用しません。

誤解

光の速さは、どんな状況でも変わらない一つの数字である。

事実

変わらないのは、真空中を進むときの値です。水やガラスのように物質の中を通るとき、光はこれより遅く進みます。

日常で出会う場面

  1. 地球は太陽の周りを速く回っていますが、季節が変わって回る向きが変わっても、星の光の速さは同じ値で測定されます。

  2. GPS(衛星測位システム)は、衛星の時計と地上の時計の進み方が少し違うことを計算に入れないと、正しい位置を教えてくれません。衛星が速く動く効果と、地球の重力が弱い高いところにある効果が一緒に働きますが、このうち動きによる効果が、この記事の原理と関係しています。

つまり ひとことで

誰がどれだけ速く動きながら測っても、真空中の光の速さは同じなので、代わりに時間と長さのほうが変わります。

作成 2025-12-05 更新 2026-10-13 検証 2026-10-13