変動為替相場制

野菜市場のキャベツの値段のように、買いたい人と売りたい人のバランスで毎日価格が変わる為替の仕組みです。

定義 外国為替市場で、通貨を買いたい人と売りたい人の力関係(需要と供給)によって、為替レートが毎瞬間自由に決まる制度のことです。政府が特定の価格を無理に固定せず、市場の波に合わせて自然に上下するように任せます。

りんご市場のように動くお金の値段

近所のスーパーでりんごが豊作でたくさん出回れば値段が下がり、不作で品薄になれば値段は跳ね上がります。変動為替相場制におけるお金の値段(為替レート)も、このりんごの価格とまったく同じように動きます。例えば、国内企業が海外に製品をたくさん輸出してドルを稼いでくると、国内市場にドルが増えてドルの価値は下がり、自国通貨の価値が上がります。反対に、海外旅行や個人輸入が増えてドルを求める人が増えると、ドルの価値が上がって自国通貨安・ドル高になります。

このように為替レートが毎瞬間自由に動くことで、一国の経済にはある種の自動ショックアブソーバー(緩衝装置)が働きます。もし自国製品の人気が落ちて輸出が減った場合、外国為替市場で自国通貨を求める人が減って通貨安になります。通貨安になると、海外のバイヤーから見れば製品の価格が割安になるため、再び注文が増え始めます。つまり、市場が自ら貿易の不均衡を是正してくれるのです。

需要と供給で均衡する変動為替相場制の天秤図 即時為替レート 1320.5W $ $ ドル需要 輸入・海外旅行 $ ドル供給 輸出・外貨流入

自由な政策運営と不確実性の共存

変動為替相場制の最大のメリットは、中央銀行が国内の経済状況だけに集中して金融政策を行える点です。為替レートを特定の数値に無理に固定する必要がないため、国内景気が悪化すれば思い切って利下げを行い、インフレが進めば利上げを行うことができます。また、人為的に為替レートを防衛するために、国の金庫である外貨準備高を無理に使い果たすリスクも大幅に減ります。

しかし、自由の裏には常に不確実性というリスクが潜んでいます。為替レートが天気のように刻一刻と変化するため、海外と取引する輸出入企業は常に為替変動リスクにさらされます。来月の為替レートがどうなるかを正確に予測するのは難しく、長期的な投資計画や取引契約を立てるのが難しくなります。さらに、世界中の投機マネーが急速に流出すると、短期間で為替レートが激しく乱高下する不安が生じることもあります。

もう少し詳しく言うと:完全な放任ではありません

もう少し正確に言うと、現代の現実世界において、100%完全に市場任せにする純粋な変動為替相場制をとっている国はほとんどありません。多くの国は、普段は市場に任せつつも、為替レートが極端に急変動したときには政府が介入する『管理変動相場制』を採用しています。

為替レートが一夜にして制御不能なほど急騰・急落すると、輸入品の物価が高騰したり、健全な輸出企業が大打撃を受けたりする恐れがあるためです。そのため中央銀行は、普段は市場の自律性を尊重しつつも、市場にパニックが広がって相場が激しく乱高下する際には、ドルを直接買い入れたり売り出したりして変動のスピードを抑えます。つまり、表向きは自由に流れるように任せつつ、危ないときにだけ作動するセーフティネットを併せて運用しているのです。

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

変動為替相場制を採用している国では、政府や中央銀行が為替レートに一切手を出さない。

✓ 事実

基本的には市場の自律性に任せますが、投機的な動きや経済危機によって短期間で異常な乱高下が起きた場合には、市場を安定させるために政府が為替介入(微調整)を行います。

🧺 日常で出会う場面

1 米連邦準備制度(FRB)が政策金利を急激に引き上げたことで、世界中からドルへの需要が集まり、ドル高・他国通貨安が進む現象です。
2 好調な輸出によって外貨(ドル)の流入が増え、市場原理に基づいて自国通貨の価値が上がり、為替レートが通貨高方向へと変動する過程です。
💡 つまり ひとことで

通貨の値段である為替レートを市場の需要と供給に任せ、自然にバランスを取らせる制度です。