定義
ゴールデンクロスとデッドクロスは、株式や暗号資産(仮想通貨)のチャートにおいて、直近の値動きを反映する短期移動平均線が長期移動平均線を上抜け・下抜けする現象です。相場の上昇や下落のトレンドが切り替わる転換点を予測する、代表的なテクニカル分析の指標です。
短距離ランナーとマラソンランナーが出会う瞬間
日々上下する株価を眺めているだけでは、いま相場が上がっているのか下がっているのか判断しにくいものです。そこで投資家は、過去数日間の終値を平均して滑らかな線で結んだ「移動平均線」を羅針盤のように活用します。
移動平均線は、計算する期間によって特徴が異なります。たとえば直近の機敏な値動きを反映する短期移動平均線があれば、数カ月間の大きな流れをどっしり示す長期移動平均線もあります。なお、期間の設定に絶対的な正解はなく、日本では25日線と75日線(あるいは5日線と25日線)、欧米などでは50日線と200日線の交差がよく使われます。身軽な短距離ランナーが短期線なら、一定のペースを崩さないマラソンランナーが長期線です。
買いの勢いが強まり、短距離ランナーが先行していたマラソンランナーを下から勢いよく追い抜く瞬間が訪れます。相場が黄金の上昇トレンドへと転じた兆しと捉えられることから、これをゴールデンクロスと呼びます。
この交差が起きると、直近の平均価格が長期的な平均価格を上回ったことを意味し、足元の勢いが長期トレンドを凌駕するほど強くなってきたと解釈されます。ただし、移動平均線は価格だけで計算されるため、実際に大きな資金が流入しているかどうかは出来高なども併せて確認することが大切です。
相場が冷え込むデッドクロス
反対に、前を快走していた短距離ランナーが息切れし、マラソンランナーの背後へと沈んでいく瞬間もあります。直近の株価が下落し続けると、反応の速い短期線が緩やかに推移する長期線を上から下へと突き抜けて滑り落ちます。
この様子が相場に死の影を落とすように見えることから、デッドクロスという恐ろしい名前が付けられました。直近の平均価格が、より長期の平均価格を下回ってしまった状態です。
デッドクロスが現れると、足元の相場の勢いが過去に比べて目立って衰えた合図と受け止められます。このサインを見て売りを出す投資家が増えれば、下落トレンドが長期化する可能性もあります。
そのため多くの投資家は、デッドクロスを資産を守るためのリスク管理や警戒シグナルとして活用しています。
もう少し正確に言うと:絶対確実な魔法ではない
ゴールデンクロスが出たからといって翌日に株価が暴騰するわけではなく、デッドクロスが出たからといって必ず暴落するわけでもありません。移動平均線はあくまで過去の価格を集計したものなので、実際の値動きより合図が遅れて現れる「遅行性」があるためです。
株価が底を打ってかなり上昇してからようやくゴールデンクロスが現れることもあれば、天井から下がりきった後にデッドクロスが出て、肝心の損失を防げないケースも珍しくありません。
また、クロスした直後に株価が逆行して投資家を惑わせる「だまし」も頻繁に発生します。取引量(出来高)が少ない銘柄ほど、こうした現象が起きやすくなります。
したがって、チャートのクロスシグナルだけを盲信するのではなく、企業の業績や市場の出来高、マクロ経済の動向なども総合的に見極める補助ツールとして付き合うのが賢明です。
よくある誤解
ゴールデンクロスが出れば必ず株価は急騰し、デッドクロスが出れば絶対に急落する。
移動平均線は過去の価格データをもとに算出される遅行性の指標です。すでに価格が上がった後にサインが出たり、直後に反転する「だまし」も少なくありません。
日常で出会う場面
25日移動平均線が75日移動平均線を下から上へ突き抜けるケースで、テクニカル分析では上昇トレンドへの転換サインと捉えられます。
株価の下落が続き、50日移動平均線が200日移動平均線を割り込んで、市場全体に下落相場の警戒アラートが灯る局面です。
つまり ひとことで
短期線が長期線を上抜ければゴールデンクロス(上昇サイン)、下抜ければデッドクロス(下落サイン)です。