IT·テック

HTTPとHTTPS

誰でも読めるハガキに、誰も中身を覗けない頑丈な特殊封筒を被せたようなものです。

  • 約4分
  • 図 2点
  • 2026-10-12 検証

定義

ポストに投函する透明なハガキ(HTTP)に、誰も開けられない頑丈な鍵(HTTPS)をかけたようなインターネットの通信ルールです。WebブラウザとWebサーバーが情報をやり取りする際、データを暗号化して途中で第三者が盗み見たり改ざんしたりできないよう安全に守る役割を果たしています。

ハガキのように中身が丸見えの通信、HTTP

インターネットのアドレスバーでよく見かける「HTTP」は、WebブラウザとWebサーバーがやり取りするための基本的な共通言語(通信プロトコル)です。ポータルサイトや検索画面でキーワードを入力すると、ブラウザがサーバーに「この画面を表示してください」とリクエストを送ります。するとサーバーが文字や画像のデータを送り返し、画面が表示される仕組みです。

しかし、初期に作られたHTTPには大きな弱点がありました。やり取りされるすべてのデータが透明なハガキのようにむき出しの状態でインターネット上を行き交うという点です。封筒に入れずに送ったハガキは、配達の途中で誰かに覗き見られれば、書かれた内容がそのまま読まれてしまいます。

セキュリティ対策が施されていないHTTPサイトでパスワードやクレジットカード情報を入力するのは非常に危険です。インターネット通信網を通過する間に、悪意ある第三者が途中でデータを簡単に盗み見ることができるからです。

鍵と身分証で武装した保安官、HTTPS

このような盗聴やデータの抜き取りを防ぐために登場した通信ルールが「HTTPS」です。末尾のアルファベット「S」はセキュア(Secure:安全)を意味しています。データが通る道そのものを強力な暗号化技術で包み込むため、たとえ途中でデータを傍受されても、ランダムな文字列にしか見えず解読できません。

HTTPSには、データを暗号化する以外にも非常に重要な役割があります。自分がアクセスしたサーバーが、アドレスバーに表示されている通りの正規のサイトかどうかを確かめる「身分証明書の確認」です。公認の認証局(CA)が発行した電子証明書をチェックすることで、途中で別の偽サーバーにすり替える攻撃を賢く防ぎます。ただし、証明書は「そのアドレスが本物であること」を証明するだけで、サイトの運営者が誠実かどうかまで保証するわけではありません。

多くのWebブラウザでアドレスバーの横に表示される小さな鍵のアイコンは、この通信が暗号化されていることを示すサインです。ただしGoogle Chromeでは、鍵アイコンが「サイト自体が安全・信用できる」という意味に誤解されやすいとして、2023年から別のアイコンへと変更されました。

もう少し詳しく知る:SSLとTLSの関係

HTTPSを説明する際、よく「SSLサーバー証明書」という言葉を耳にします。正確に言うと、初期に開発された「SSL(Secure Sockets Layer)」というプロトコルには脆弱性が見つかり、段階的に廃止されました。現在では、より安全で高度に改良されたTLS(Transport Layer Security)という技術が標準として使われています。

しかし、初期の技術であるSSLという名称があまりにも広く普及したため、今でも慣用的に「SSL/TLS」とひとまとめにして呼ばれることが多いのです。ブラウザとサーバーが接続する際、互いに挨拶を交わしながら暗号化に必要な秘密鍵を安全に作り出す手順を「TLSハンドシェイク」と呼びます。

現代のインターネットでは、個人情報を入力する画面だけでなく、ほぼすべてのWebサイトがHTTPSを標準採用しています。ネットの世界で安全かつ信頼できる通信を実現するための、最も基本的で不可欠な標準規格となっています。

よくある誤解

誤解

鍵マーク(HTTPS)が付いているサイトなら、詐欺や危険が一切ない100%安全なサイトである。

事実

HTTPSは、ブラウザとサーバー間の通信経路が暗号化されていることを意味するにすぎません。詐欺師が作ったフィッシング詐欺サイトであっても鍵(HTTPS)を導入できるため、サイト自体が本物かどうかはユーザー自身がしっかり見極める必要があります。

日常で出会う場面

  1. Webサイトにログインする際、自分のパスワードが暗号化されて送信されるのはHTTPSのおかげです。

  2. カフェのフリーWi-Fiを使ってネットショッピングの決済をするとき、第三者にクレジットカード番号を盗み見られないように保護してくれます。

つまり ひとことで

HTTPは誰でも読める透明なハガキ通信であり、HTTPSは暗号化と電子証明書で安全に守られた親展手紙のような通信です。

作成 2026-04-08 更新 2026-10-12 検証 2026-10-12