定義
南中高度(なんちゅうこうど)とは、太陽が一日の間に空を移動し、真南(北半球の中緯度地域の場合)の一番高い位置に達したときに地平線となす角度のことです。わかりやすく言えば、一日の中で太陽が最も高く昇ったときの高さを角度で表したものです。
影が一日で一番短くなる正午の瞬間
公園で遊んでいると、朝には自分の背丈よりもずっと長かった影が、お昼ごろになると一日で一番短くなることに気づきます(夏場は足元近くまで縮みますが、完全に消えるわけではありません)。太陽が空高く昇るほど、地面にできる影は短くなります。
太陽は東から昇って西へ沈みながら、空に大きな弧を描きます。このとき、太陽が南の空の真ん中を通る架空の線(子午線)を通過する瞬間を「南中(なんちゅう)」と呼びます。この瞬間、太陽は一日の中で最も高い位置にやってきます。
南中高度とは、まさにこの南中の瞬間に地平線と太陽がなす最も高い角度のことです。地平線と同じ高さなら0度、頭の真上(天頂)に来れば90度になります。南中高度が高くなるほど、太陽の光は地面に対して垂直に近い角度で降り注ぐことになります。
夏はなぜ暑く、冬はなぜ寒いのか?
懐中電灯の光を床にまっすぐ垂直に当てると、狭い面積に光が集中してとても明るく熱くなります。逆に、懐中電灯を斜めに傾けて照らすと、光が広い範囲に広がるため、同じ面積が受ける熱は弱くなります。
地球の四季の移り変わりも、まさにこの懐中電灯の原理と同じです。地球は真っすぐに立った状態で太陽の周りを回っているのではなく、地軸が約23.5度傾いたまま公転しているため、季節によって太陽の南中高度が移り変わります。
夏には日本のある北半球が太陽の方向へと傾き、南中高度が高くなるため、狭い面積に強い日差しが集中します。一方、冬には太陽と反対側へ傾くことで南中高度が低くなり、日光が斜めに広く分散して届くため、気温が大きく下がるのです。
もう少し詳しく見てみると
地軸が傾いたまま公転しているため、季節によって南中高度だけでなく「昼の長さ」も一緒に変化します。南中高度が昼の長さを決めているわけではなく、どちらも同じ原因から生じる結果です。そのため、日本のような地域では南中高度が高い夏ほど昼の時間も長くなります。
もう少し数学的に計算してみると、南中高度はその場所の「緯度」と、傾いた地軸によって季節ごとに変わる太陽の位置から導き出せます。日本のような北半球の中緯度地域では、昼が一番長い夏至には「90度 − 緯度 + 23.5度」となり、夜が一番長い冬至には「90度 − 緯度 − 23.5度」となります。
例えば東京(北緯約35.7度)の場合、夏至の南中高度は約77.8度とかなり見上げる高さになりますが、冬至には約30.8度まで低くなります。高く昇る強烈な日差しに長い昼が合わさることで夏は暑くなり、低く差し込む光に短い昼が重なることで冬は寒くなるのです。日本家屋の深い「軒(のき)」も、季節による太陽の高さの違いを巧みに利用した知恵ですし、現在でも太陽光パネルを設置する際には南中高度を計算して最適な傾きを決定しています。
よくある誤解
お昼の12時ちょうどになると、太陽はいつも頭の真上(90度)に来る。
日本のような中緯度地域では、最も太陽が高くなる夏至でも南中高度は約78度にとどまり、頭の真上(90度)までは上がりません。また、標準時子午線(東経135度)と現在地の経度のずれにより、実際に南中する時刻も12時ちょうどから前後します。
日常で出会う場面
伝統的な日本家屋の深い軒(のき)は、南中高度が高い夏には強い日差しを遮り、南中高度が低い冬には部屋の奥まであたたかい光が届くように工夫されています。
住宅などを建築する際の日影規制(ひかげきせい)では、一年で最も太陽が低くなる冬至を基準に周囲への日当たりが計算されます。
つまり ひとことで
南中高度は太陽が一日の中で一番高く昇ったときの角度で、季節によって移り変わり、気温や昼の長さに大きな影響を与えます。