定義
春分(春)と秋分(秋)は、太陽が地球の赤道の真上をまっすぐに照らす日のことです。地球は少し傾いた姿勢で太陽のまわりを回っていますが、この日は北半球と南半球に太陽の光がちょうど均等に注がれます。この日を境にして、季節の昼と夜の長さが逆転していきます。
昼と夜の長さが同じになる不思議な日
公園でシーソーに乗っていると、両側の重さがぴったり揃って、空中で水平にピタッと止まる瞬間がありますよね。春分と秋分は、まさに1年という長い時間の中で昼と夜がそのような水平をつくる日です。春に訪れる春分には、冬のあいだ短かった昼がだんだん長くなって夜と同じ長さになり、秋に訪れる秋分には、夏に長かった昼が短くなって夜と同じ長さになります。
昔から季節の移り変わりを表す「二十四節気」の中でも、この2つの日はとても大切にされてきました。春分を過ぎると昼が夜より長くなって本格的な農作業の準備が始まり、秋分を過ぎると夜が昼より長くなって収穫の季節を迎えたからです。(日本では今でも「春分の日」「秋分の日」として国民の祝日になっています。)
このように、春分と秋分は自然が教えてくれる季節の合図です。凍てついた大地が解けて生命が芽吹くスタート地点が春分なら、実りに感謝して冬支度を始める節目が秋分です。自然の時計が昼と夜のバランスを取りながら、季節のバトンをつなぐ瞬間なのです。
なぜこのような日が生まれるのでしょうか?
地球はまっすぐ立っているのではなく、約23.5度ほど横に傾いた状態で太陽のまわりを公転しています。この傾きがあるため、1年を通して太陽の光を多く受ける場所が季節ごとに移り変わっていきます。北半球が太陽に向かって傾くと、北半球は昼が長くて暑い夏になり、反対に南半球は夜が長くて寒い冬になります。
ところが地球が太陽のまわりを回っていくと、太陽に向かって傾いているわけでも、背を向けているわけでもない絶妙な位置を通過します。このとき、太陽の光は地球の真ん中である赤道に対してちょうど真上から垂直に降り注ぎます。
この瞬間、北半球と南半球は太陽の光を均等に分け合います。もちろん、光の強さがどこでも同じになるわけではありません。赤道は光を真上から受けますが、高緯度の地域では斜めに受けるからです。それでも極地を除けば、ほとんどの地域で昼と夜の長さがほぼ半々になる瞬間が訪れます。春分は太陽が南から北へと赤道を横切るとき、秋分は北から南へと赤道を横切るときに起こります。
もう少し正確に言うと:実は昼のほうが数分長い?
教科書やカレンダーでは、春分と秋分には昼と夜の長さがちょうど12時間ずつ同じになると説明されます。しかし、実際の時計で測ってみると、この日も昼のほうが12時間より約8分〜10分ほど(日本付近の緯度の場合)長くなっています。そのぶん夜は12時間より短くなるため、昼は夜よりも15〜20分ほど長いことになります。この差は赤道で最も小さく、緯度が高くなるほど大きくなります。なぜこのような差が生まれるのでしょうか?
1つ目の理由は、太陽の光が大気を通るときに起こる「大気差(光の屈折)」のためです。地表に近づくほど空気が濃くなるため、太陽光は地面に向かってわずかに曲がって届きます。このため、実際には地平線の下にある太陽が、地平線の上に浮かび上がって見えます。その結果、太陽が本当に地平線から顔を出す2〜3分前にはすでに日の出として見え、日が沈んだあとも数分間は地平線の上に残っているように見えるのです。
2つ目の理由は、日の出と日の入りの基準の違いです。天文学では、太陽の中心ではなく太陽の上端が地平線に接した瞬間を日の出・日の入りとして計算します。つまり、朝は少し早く始まり、夕方は少し遅く終わるため、春分や秋分の当日であっても、実際の昼は夜よりも十数分長く計測されるのです。
よくある誤解
春分と秋分には、昼と夜の長さが秒単位までぴったり12時間ずつ一致する。
大気による光の屈折現象と、太陽のいちばん上の縁を基準にして日の出と日の入りを決める仕組みのため、実際には昼が12時間より約8分ほど長く、夜よりも十数分長くなります。
日常で出会う場面
春分(3月20〜21日頃)を過ぎると毎日少しずつ昼が長くなり、暖かな春から夏へと向かっていきます。
秋分(9月22〜23日頃)を過ぎると毎日少しずつ夜が長くなり、涼しい秋から肌寒い冬へと向かっていきます。
南半球にあるオーストラリアやニュージーランドは季節が逆になるため、現地の季節感では3月の分点が秋の分点、9月の分点が春の分点になります。(天文学上の定義では、半球に関係なく3月の分点を「春分点」と呼びます。)
つまり ひとことで
春分と秋分は、太陽が地球の赤道を真上から照らし、昼と夜の長さがほぼ同じになる季節の折り返し地点です。