定義
韓国の公共賃貸住宅とは、国や地方自治体、LH(韓国土地住宅公社)などの公的機関が税金や基金の支援を受けて建て、住宅を持たない庶民や若者、新婚夫婦に相場よりずっと安く貸し出す住まいのことです。国民の住まいの安定を支える、代表的な福祉政策です。
ふつうの民間賃貸と何が違うの?
民間のワンルームやアパートに住むと、2年の契約が切れるたびに、大家さんが保証金を大幅に上げたり、出て行ってほしいと言ったりするのではと不安になります。しかも最近は、契約が終わっても大家さんが保証金を期限どおりに返せない「チョンセ詐欺」(韓国特有の賃貸制度チョンセをめぐる被害)が相次ぎ、借りる人の心配はいっそう大きくなりました。
公共賃貸住宅は、個人ではなく政府や公的機関が大家さんなので、保証金が戻ってこないリスクがとても低いのが特徴です。公的機関が破産したり、お金を持ち逃げしたりする可能性はごく小さいので、安心して眠れる安全な居場所になってくれます。
また、家賃は周辺の民間住宅の相場の30%から80%程度と、かなり割安です。いったん入居すれば、「幸福住宅」は層ごとに決められた期間(若者6年、新婚夫婦6〜10年など)まで、「永久賃貸」や「国民賃貸」は入居資格を満たし続けるかぎり数十年まで、引っ越しの心配なく長く住めるので、暮らしがぐっと安定します。
もう少し正確にいうと:自分に合う多彩なタイプ
公共賃貸住宅は、すべてが同じ一種類の団地ではありません。入居する人の年齢や所得、世帯の状況に合わせて、いくつもの目的別の供給方式にきめ細かく分かれています。
代表的なのが「幸福住宅」です。大学生や新社会人、新婚夫婦など、公共交通の便がよい場所を必要とする若い層のために、職場や学校の近くに建てられます。一方、低所得の高齢者や障害のある方の世帯のように支援が特に必要な人には、相場の30%前後ともっとも安い「永久賃貸住宅」(50年以上の賃貸)と、家賃はそれより少し高いものの30年以上借りられる「国民賃貸住宅」が供給されます。
新築だけでなく、既存の住宅も活用されます。公的機関が都市部の集合住宅を買い取って安く貸し出す「買取賃貸」や、入居したい民間のチョンセ物件を借り手が見つけてくると、機関が先に大家さんと契約を結び、借り手に又貸しする「チョンセ賃貸」もあります。
どうやって申し込んで入居するの?
これだけメリットの大きい住宅ですが、誰でもすぐ入れるわけではありません。住まいの安定が切実な人に優先して恩恵が届くべきなので、無住宅者であるという基本条件を必ず満たす必要があります。申込者本人はもちろん、同居する家族全員が、家を1軒も所有していないことが求められます。
所得と資産の基準も細かく確認されます。世帯全体の月平均所得が前年度の都市勤労者の平均所得の一定割合(たとえば100%以下、70%以下など)を超えないこと、所有する自動車の価格や金融資産の合計も、政府の定める基準を下回ることが、申込資格の条件です。
申し込みは、「LHチョンヤクプラス」や各地域の都市公社のサイトで入居者募集の公告を確認したうえで、インターネットで行います。入居者に選ばれれば毎月の住居費を大きく減らせるので、新社会人や新婚夫婦が将来マイホームを買うための大切な頭金を貯める頼もしい足場になってくれます。
よくある誤解
公共賃貸住宅は設備が古くて狭く、貧しい人だけが住む場所だ。
近年供給される幸福住宅や新築の公共賃貸には、フィットネスセンターや保育園などのコミュニティ施設が備わっており、家族で暮らしやすい中型の広さまで、だんだん種類が広がっています。
公共賃貸住宅に一度当選すれば、一生ずっと住み続けられる。
幸福住宅には層ごとに最長居住期間(若者6年、新婚夫婦6〜10年など)が決まっていますし、永久賃貸・国民賃貸でも、2年ごとの契約更新の際に所得と資産の基準を満たし続けているか再審査を受けます。
日常で出会う場面
新社会人が大学街の近くの幸福住宅に当選し、相場の半額ほどの家賃で暮らしながら貯金を増やすケースです。
新婚夫婦が保証金詐欺の心配がない国民賃貸住宅に10年間住み、子どもを育てながらマイホームの頭金を貯めるケースです。
つまり ひとことで
公共賃貸住宅は、政府が相場より安く長期間貸してくれる住まいで、住居費の心配をせずに資産づくりを進められるようにする安全網です。