IT·テック

トロイの木馬

プレゼントの箱に隠れて家の中に入り込み、こっそり扉を開けて泥棒を招き入れる、危険な招待状です。

  • 約3分
  • 図 1点
  • 2026-10-17 検証

定義

ふつうの便利なソフトのようにもっともらしく偽装して、ユーザー自身にパソコンへインストールさせたあと、こっそりパソコンの操作権を奪ったり、内部の情報を盗み出したりするマルウェアです。

プレゼントだと思って開けたら

ギリシャ神話では、ギリシャ軍が巨大な木の馬を城門の前に贈り物として残して去りました。トロイの人々は勝利の記念品だと思って喜び、木馬を城の中へ引き入れます。ところが、みんなが寝静まった夜になると、木馬の中に潜んでいた敵兵が外へ出てきて、城門を大きく開け放ってしまいました。

コンピューターの世界のトロイの木馬も、まったく同じ方法で動きます。人気の有料ゲームの無料インストールファイルや、文書作成ソフトのような便利なソフトに、念入りに化けているのです。セキュリティの仕組みもユーザーも、見た目だけで判断して、便利なソフトだと信じて自分でインストールを押してしまいます。

インストールボタンを押した瞬間、表向きは約束どおりの正常なプログラムが動いているように見えます。しかし、目に見えないシステムの裏側では、隠されていた悪意のあるコードがこっそり実行され、パソコンを乗っ取り始めます。

ウイルスやワームとは何が違うのでしょう?

パソコンに問題を起こすプログラムを、まとめて「ウイルス」と呼んでしまう人は少なくありません。けれどもセキュリティ技術の観点では、感染のしかたによって種類がきっちり分かれています。ほかの正常なファイルに寄生して自分をコピーしながら広がるのがコンピューターウイルスです。いっぽう、ネットワークの通り道を使ってほかのパソコンへ自分から入り込んでいくものは、ワーム(Worm)と呼びます。

これに対してトロイの木馬には、ほかのファイルに寄生したり、自分を複製して広めたりする能力がまったくありません。主に、ユーザーがだまされて自分から実行ファイルをクリックしたときにパソコンへ入り込みます。すでに侵入していたほかのマルウェアが、こっそりダウンロードしてインストールする場合もあります。

自分では増えられないため、トロイの木馬は人の好奇心や焦りを突く、だましの手口に力を入れます。攻撃者が外から無理やり破って入ってくるのではなく、被害者に自分の手で扉を開けさせてしまう、心理的な攻撃手法なのです。

もう少し正確に言うと: バックドアとボットネットの入り口

もう少し正確に言うと、トロイの木馬は、それだけで破壊活動を終わらせるというより、もっと大きな被害を起こすための最初の関門の役割を果たします。システムに居座ったトロイの木馬は、外部の攻撃者がいつでも出入りできる秘密の通路であるバックドア(Backdoor)を、こっそり作っておきます。

この秘密の通路が開くと、遠くにいる攻撃者が被害者のパソコンを思いのままに操れるようになります。キーボードで入力するパスワードを盗み取るキーロガーを仕込んだり、画面をこっそりのぞき見したりもします。感染した大量のパソコンをゾンビのようにつなぎ合わせて、特定のウェブサイトをダウンさせるDDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃)の道具に使うこともあります。

トロイの木馬はユーザーの許可を得て入り込むので、ただのセキュリティソフトの監視だけを頼りにするより、出どころのわからないメールの添付ファイルや、公式ではない経路からのダウンロードをきっちり避ける習慣が大切です。

よくある誤解

誤解

トロイの木馬は、ほかのファイルやパソコンへひとりでに増殖して感染する。

事実

自分を複製したり、ネットワークで広がったりする機能はありません。たいていは、ユーザーがだまされて自分でファイルをダウンロードし、実行して初めて活動を始めます。

日常で出会う場面

  1. 有料のソフトやゲームを無料で使えるとうたう違法コピーのファイルの中に、隠れて入り込みます。

  2. 宅配便の配送状況の確認や、料金の請求書のお知らせに偽装したメールの添付ファイルを実行すると、こっそりインストールされます。

つまり ひとことで

正常なプログラムに偽装してユーザー自身にインストールさせ、パソコンに秘密の通路を作ってハッキングを手助けするマルウェアです。

作成 2025-06-22 更新 2026-10-17 検証 2026-10-17