定義
コンピューターの画面は、ピクセルというとても小さな四角いマスがびっしり集まってできています。そのため斜め線や曲線を描くと、ふちが階段のようにガタガタになります。これをエイリアシング、あるいはジャギーと呼びます。アンチエイリアシングは、その階段の段差に中間の明るさの色を流し込む技術です。おかげで少し離れて見ると、境目がなめらかにつながって見えます。
画面の斜め線はなぜ階段になるのでしょう?
方眼紙を広げて、マスを丸ごと塗りつぶすやり方だけで絵を描くと想像してみましょう。横線と縦線はマスにぴったり収まるので、定規で引いたようにきれいに描けます。
問題は斜めの線です。斜め線はマスの境目を横切って通るので、あるマスは半分ほどかかり、あるマスは角をかすめるだけになります。マスを塗るか塗らないかの二つに一つしか選べないので、線はガタガタにずれてしまいます。
コンピューターの画面も同じ方眼紙です。画面をつくるピクセル一つは、その瞬間に一つの色しか持てません。かかった分だけ薄く塗る、という芸当ができないのです。
だから丸や斜め線、斜めに傾いた物のふちには階段のように角ばったギザギザが現れます。ゲームの中の電線や手すりが欠けたように見えるのは、そのためです。
中間色を混ぜて目をだまします
アンチエイリアシングの考え方は単純です。マスを塗りつぶすか空けておくかの代わりに、線がかかった面積の分だけ色を薄く塗るのです。
黒い斜め線があるピクセルの半分を覆ったなら、そのピクセルは黒と白の中間である灰色に塗ります。角だけかすめたピクセルは、白に近いごく薄い灰色になります。
私たちの目は、とても小さな点を一つずつ見分けることができず、まわりの色とひとまとめにして受け取ります。だから濃い灰色と薄い灰色が順に並んだ列を見ると、脳がそれをなめらかにつながった一本の線として整えてくれるのです。
画面を大きく拡大してみれば、ふちは相変わらず階段のかたちのままです。ただ段差ごとに中間色が詰められているだけ。ギザギザをなくしたのではなく、目立たないように隠したわけです。
もう少し詳しく:なめらかさには値札がつきます
もう少し正確に言うと、中間色の決め方は一つではありません。いちばん分かりやすいのは、画面を実際よりずっと大きく描いてから、縮めながら隣り合う色を平均する方法です。
この方法は結果がきれいな代わりに、描くべきピクセルが大きく増えるのでグラフィック装置が苦しみます。そこで、物のふちにあたる部分だけを選び出し、そこだけ丁寧に計算する方法が広く使われています。
通り過ぎた前の画面を覚えておいて、重ねて平均を取るやり方もあります。計算の負担は軽いのですが、画面が速く動くと残像が出たり、全体が少しぼやけて見えたりします。
なめらかさと鮮明さ、そして速さは、押し合いへし合いする関係です。ゲームの設定にアンチエイリアシングの段階を選ぶ項目があるのも、好みと性能を引き換えにしてくださいという意味なのです。
よくある誤解
アンチエイリアシングをオンにすると画面の解像度が上がる。
画面のピクセルの数はそのままです。ピクセルを増やすのではなく、境目に置かれたピクセルの色だけを調節してなめらかに見せる目のごまかしです。
ふちに階段ができるのはグラフィックボードの性能が悪いせいだ。
画面が四角いマスでできている以上、高価な装置でも階段はできます。性能が良ければ、その階段をより念入りに整える余裕が生まれるというだけです。
日常で出会う場面
文書編集ソフトで文字の画のふちが薄い灰色にわずかににじみ、読みやすくなっていること
ゲーム設定でアンチエイリアシングを切ると、遠くの電線や階段の手すりがギザギザに欠けて見えること
つまり ひとことで
ピクセルの境目に中間色を混ぜ込んで、四角いマスのせいで生まれる階段状のふちを目立たなく整える技術です。