定義
くるくる回るメリーゴーラウンドの上で友だちにボールを投げると、ボールが横にそれて見えます。地球も1日に1回転する大きな回転盤なので、その上を長く移動する風や海流は、進む向きが曲がって見えます。このように、回転する床の上から見たときに現れる見かけ上のカーブを、コリオリ効果と呼びます。
メリーゴーラウンドの上で投げたボールは、なぜ曲がるのでしょうか?
友だちと向かい合って、くるくる回るメリーゴーラウンドに乗っているところを思い浮かべてみましょう。友だちに向かってまっすぐボールを投げたのに、ボールは友だちの手ではなく、見当違いの隣の席のほうへ飛んでいってしまいます。
ボールがおかしな動きをしたわけではありません。ボールは投げられた向きのまま、まっすぐ飛んでいきました。ただ、ボールが飛んでいるあいだにメリーゴーラウンドが少し回って、友だちの席が横へ移ってしまったのです。
ところが、いっしょに乗っている私には、この場面が違って見えます。床も私もいっしょに回っているので、メリーゴーラウンドが回ったことに気づきにくいからです。そのため、ボールがひとりでに横へ曲がったと感じてしまいます。
地球は、1日に1回転するとても大きなメリーゴーラウンドです。その上を長く移動する風や海流も、同じ理由で曲がって見えます。移動する距離が長く、時間がかかるほど、曲がり方ははっきりしてきます。
北半球と南半球で、回る向きが反対になる理由
北半球では、動いているものは進行方向の右へ曲がります。南半球では反対に、左へ曲がります。地球を北の上空から見るか、南の下から見るかによって、自転の回る向きが逆に見えるためです。
台風は、空気が薄くなった低気圧の中心に向かって四方から風が吸い込まれながら育ちます。北半球では、中心に向かって走っていた風が少しずつ右へ押しやられます。
その結果、風は中心にまっすぐ入りきれず、中心のまわりをぐるりと回るようになります。北半球の台風が反時計回りに渦を巻く姿は、こうして生まれます。
南半球では風が左へ押されるので、渦は時計回りになります。海の海流は、事情が少し違います。北半球では海水の表面が右へ押されて大洋の真ん中に集まり、盛り上がった水が再び広がっていく中で、時計回りの巨大な渦ができます。台風は中心に吸い込まれる流れなので、回る向きが逆になります。
もう少し正確に言うと:押す力はありません
もう少し正確に言うと、コリオリ効果は何かを実際に押す力ではありません。回る床の上でいっしょに回りながら見たときにだけ現れる見かけの力です。
宇宙から地球を見下ろす観測者には、こうした曲がりは見えません。風はもともと進もうとした向きに進んだだけで、そのあいだに地球が下で回っていたからです。
この効果は、移動する距離が長く、時間が十分にあるときになって初めて目立ちます。台風や海流のように、数百キロメートルを何日もかけて動く流れでは、無視できないほど大きくなります。
反対に、洗面台の水が流れていく短い間は、曲がりが小さすぎて感じ取れません。容器の形や水を注いだ向きのほうが、はるかに大きく影響します。赤道の近くでは、この曲がりがほとんどなくなることも知っておくとよいでしょう。
よくある誤解
北半球では、洗面台やお風呂の水は、いつも反時計回りに流れていく。
そんなに小さな水の容器では、コリオリ効果が弱すぎて目立ちません。水が回る向きは、容器の形、水を注いだ向き、排水口のまわりに残っていた流れのほうが、はるかに大きく左右します。
コリオリ効果は、地球が物体を横に押しのける実際の力である。
回る地球の上でいっしょに回っている人の目にだけ現れる、見かけの力です。地球の外から見れば、物体はもともと進んでいた向きにまっすぐ進んでいます。
日常で出会う場面
北半球の海の表層を流れる海流が右へ押されて、大洋をめぐる大きな時計回りの渦をつくります。
中緯度の上空で西から東へ吹くジェット気流は、コリオリ効果の影響を受けて向きが定まり、長距離の旅客機はこの風を考えて航路を組みます。
つまり ひとことで
回る地球の上を長く動く流れが、北半球では右へ、南半球では左へ曲がって見える現象です。