定義
韓国において、真面目に働いているものの収入が少なく生活が苦しい世帯に対し、国が直接現金を支給して支援する制度です。単に生活費を給付する従来の福祉とは異なり、働く意欲を高めるために「働いて稼いだ収入が増えるほど支援金の額も増える」よう賢く設計されています。
働けば働くほど上乗せされるボーナス
子どもの頃、親から「お使いを1回するごとにお小遣いを50円ずつ増やしてあげるね」と言われた経験はないでしょうか。じっと横になっているだけではもらえませんが、進んで家事を手伝えば手にするお小遣いが増えるため、ワクワクしてもっと働きたくなりますよね。
勤労奨励金もこれとまったく同じ原理で動いています。まったく働かずに休んでいると原則としてもらえませんが、自ら汗を流して働いて収入を得始めると、国が上乗せしてくれる奨励金の額もだんだんと膨らんでいきます。
従来の生活保護制度(韓国の基礎生活保障制度)には、働いて収入を得ると生活給付が削られてしまい、かえって働く気をなくしてしまうという副作用がありました。勤労奨励金はこれとは逆に、働けば働くほどボーナスが上乗せされるため、低所得層が働く場を離れずに自立するための頼もしい踏み台としての役割を果たしています。
より正確に言えば:山のような台形グラフ
少し正確に言うと、勤労奨励金は収入が増えたからといって際限なく増え続ける仕組みではありません。働いて稼いだ収入に応じた支給額の変化をグラフに描いてみると、なだらかな「山型(台形)」を描きます。
最初は収入が増えるほど支給額も比例してぐんぐん大きくなる「漸増(ぜんぞう)区間」を通ります。やがて一定の収入範囲に達すると、国が定めた上限額を満額受け取れる「平坦区間」に入ります。
その後、収入がさらに増えて自力で家計をやりくりする余裕が生まれると、支給額が徐々に減っていく「漸減(ぜんげん)区間」を経て、最終的に支援が終了します。もっとも支援を必要としている所得層に国の財政を集中させると同時に、「収入が少し増えたからといって給付金がある日突然ゼロになり、働く意欲を失ってしまう」という罠を防ぐための、精巧な経済学の設計なのです。
税金を納めるのではなく返してもらう「給付付き税額控除」
通常、税金といえば毎月のお給料から国に引かれていく負担の重いものと思われがちです。しかし勤労奨励金は、韓国国税庁という税務行政のネットワークを活用し、逆に国民へ現金を還付してくれる特別な税制上の優遇措置です。
このような仕組みを「給付付き税額控除」と呼びます。納めるべき所得税がまったくなくても、一定の基準より収入が少ない労働者に対して国が現金を支給(還付)します。経済学の「負の所得税(ネガティブ・インカム・タックス)」というアイデアから着想を得ていますが、違いもあります。負の所得税は収入がゼロのときに支給額が最大で、稼ぐほど減っていくのに対し、勤労奨励金は働いて得た収入があって初めて受け取ることができ、最初は稼ぐほど増えていきます。
会社員だけでなく、アルバイト、日雇い労働者、配達員などの個人事業主(特殊雇用職)、小規模な自営業者まで、汗を流して収入を得ている人であれば、世帯ごとの所得や資産要件を満たすことで申請できます。具体的な基準額は毎年韓国国税庁の発表をご確認ください。毎年の定期申請期間に国税庁の電子申告システム「ホームタックス(Hometax)」等から申し込むと、審査を経て口座に直接現金が振り込まれる温かい応援金となります。
よくある誤解
働いておらず収入がまったくなくても、貧しければ受給できる。
勤労奨励金は「働く人」を応援するための制度です。そのため、給与所得や事業所得、宗教人所得など、実際に働いて得た収入がわずかでも存在しなければ申請できません。
日常で出会う場面
親元を離れて一人暮らしをしている大学生が、コンビニのアルバイトで学費を稼ぎながら、所得・資産要件を満たして勤労奨励金を受け取った。
小さな軽食店を営む自営業者が、前年の所得を誠実に申告し、世帯構成に応じた奨励金の支給を受けた。
つまり ひとことで
韓国において、働いてはいるものの所得が少ない世帯に対し、国が現金を給付して働く意欲を高めるよう設計された所得支援制度です。