科学

マグニチュードと震度

スピーカー自体の出力(W)と、客席のどこに座るかで耳に届く音の大きさ(dB)が違うのと同じです。

  • 約4分
  • 図 1点
  • 2026-10-13 検証

定義

部屋の真ん中で点いている電球そのものの消費電力と、部屋の隅の席で目に感じる明るさが別物なのと同じです。マグニチュードは地震が起きたときに放出されたエネルギーの固有の総量を指し、震度は自分が立っている場所で地面がどれだけ強く揺れ、どれほど被害が出たかを表す相対的な数字です。

スピーカーの音量と、自分の耳に聞こえる音

大きな野外コンサート会場で、巨大なスピーカーが一定の大きさで音楽を流している場面を想像してみてください。スピーカー本体が放つ音のエネルギーの総量は、ただ一つだけです。これが地震のエネルギーの大きさを表すマグニチュードです。地下深くの震源でどれだけ大きなエネルギーが放たれたかを示すので、どこで測っても数値は一つに決まります。

でも、音楽を聴く観客の側は、座る場所によってまったく違います。スピーカーの真ん前にいる人は耳が痛くなるほどの大音量を聴きますが、会場の最後列や、会場の外の遠く離れた場所では、小さな音しか聞こえません。このように自分がいる地域の揺れの強さを段階で表したものが震度です。

そのため、地震が一度起きると、マグニチュードの数字は全国で1つだけ発表されますが、震度は東京、名古屋、大阪など、地域ごとに違う数字で発表されます。

もう少し正確に言うと

マグニチュードは小数点付きの数字(例:マグニチュード5.4)で表します。アメリカの地震学者チャールズ・リヒターにちなんだ「リヒター・スケール」や、断層がずれた面積や距離などから計算する「モーメントマグニチュード」が使われます。ここで必ず覚えておきたいのは、マグニチュードが1大きくなるごとに、地震のエネルギーは約32倍ずつ指数関数的に増えるということです。マグニチュード6の地震は、5より少し強いのではなく、32倍も大きなエネルギーを持っています。

一方、震度は、人が感じる揺れの体感や建物の被害の程度をもとに、段階で表します。国によって基準が少しずつ違い、日本は気象庁が定めた0から7までの10段階(5と6には「弱」「強」があります)の「気象庁震度階級」を使っています。アメリカなど海外では、ローマ数字で表す12段階の「修正メルカリ震度階級」がよく使われ、韓国もこちらを使っています。

地震の中心地(震央)から離れるほど、たいてい震度は小さくなります。ただし、固い岩盤よりも軟らかい地盤のほうが揺れを増幅させるため、震央から遠くても、地盤の条件によっては震度が大きく観測されることがあります。

なぜ私たちには震度のほうが大事なのでしょう?

緊急地震速報や地震のニュースを見たとき、「マグニチュード」の数字だけを見て、すぐに安心したり、必要以上に怖がったりする必要はありません。海の深い場所でマグニチュード7.0の巨大地震が起きても、自分の住む町から数千キロも離れていれば、私たちが体験する震度は最も小さい1程度にとどまり、揺れによる被害はほとんどありません。ただし、海で起きた地震は、揺れとは別に津波を起こすことがあるため、沿岸地域の危険は震度だけでは分かりません。

逆に、マグニチュードは4.5ほどと比較的小さくても、震源が浅く、自分の町のすぐ真下で起きた場合、震度は5強から6にまで上がり、物が倒れたり壁にひびが入ったりすることがあります。そのため、警報を出すかどうかを決めたり、被害を見積もったりするときには、各地域の震度を重視します。

建物の耐震設計も、マグニチュードではなく、その場所で地面がどれだけ強く揺れるかを基準にします。ただしその場合は、震度階級ではなく、地面が揺れる加速度(ガルなど)の値を使います。

よくある誤解

誤解

マグニチュード6.0の地震は、マグニチュード5.0の地震より1.2倍くらい強い。

事実

マグニチュードは対数の単位を使うので、1段階上がるごとにエネルギーが約32倍になります。2段階違えば、約1,000倍(32×32)ものエネルギーの差になります。

誤解

1回の地震で震度の数値がいくつも出るのは、測定ミスだ。

事実

地震のマグニチュード(エネルギーの総量)は1つだけですが、震度(感じる揺れ)は、震央からの距離や地盤の状態によって、地域ごとに違うのが当たり前です。

日常で出会う場面

  1. 遠い沖でマグニチュード7.0の大地震が起きましたが、陸から遠く、沿岸の都市には震度2の弱い揺れしか伝わりませんでした。ただし、揺れが弱くても津波は別に発生することがあります。

  2. マグニチュード4.5の地震でしたが、震源の深さが5kmと浅かったため、真上の震央付近の町では震度5強の揺れとなり、一部で被害が出ました。

つまり ひとことで

マグニチュードは地震が起きたときに放出された絶対的なエネルギーの大きさで、震度は自分がいる地域で実際に体験した揺れと被害の強さです。

作成 2024-11-01 更新 2026-10-13 検証 2026-10-13