経済

限界効用逓減の法則

炎天下で飲む最初の一口のジュースは天国のようなのに、3本目になるとほとんど義務のように流し込んでしまう、あの気持ちの変化です。

  • 約3分
  • 図 2点
  • 2026-10-13 検証

定義

限界効用逓減の法則とは、モノやサービスを1つ追加で消費するたびに、新しく増える満足感がだんだん小さくなっていく経済学の現象のことです。ここでいう「効用(Utility)」は、消費者が何かを使って感じる主観的な満足感や喜びのこと、「限界(Marginal)」は「あと1つ追加するとき」という意味です。つまり、同じものを手に入れ続けるほど、感動がだんだん薄れていくという、心の自然な法則です。

最初の一口の感動は、なぜ薄れていくの?

汗だくになった真夏の日に飲む、最初の一口の炭酸飲料を思い浮かべてみてください。のどを通る爽快な炭酸とひんやりした甘さは、何にも代えがたいほど大きな喜びをくれます。このときの満足感は、一日の中でもピークです。

では、すぐに2本目を開けて飲んだらどうでしょう? まだおいしいけれど、1本目を開けたときほど胸は躍りません。3本目になると、もうのどは渇いていませんし、お腹がたぷたぷして胃がもたれ始めます。

このように、同じものを消費していても、新しく1つ足したときに得られる満足感はどんどん減っていきます。経済学ではこれを「限界効用が下がる」と表現します。どんなに好きな食べ物や趣味でも、延々と続けられないいちばん根本的な理由が、ここにあります。

もう少し正確に言うと:総効用と混同しないでください

限界効用が減るからといって、これまでに積み上げた全体の満足感(総効用)まで減るわけではありません。ピザを3切れ食べたときに味わった満腹感や幸福感は、1切れだけのときより間違いなく大きいはずです。

ただ、追加で増える満足の大きさがだんだん小さくなるだけです。階段の1段の高さがだんだん低くなっても、上るほど自分が立っている全体の高さは上がり続ける、というイメージに近いです。

ただし注意点があります。お腹がいっぱいなのに欲張って、4切れ、5切れと無理に詰め込んだらどうなるでしょう? このときは追加の満足感がゼロを通り越してマイナス(負の効用)に変わります。喜びの代わりに不快感や吐き気が生まれ、ついには全体の満足感(総効用)まで削り始めてしまいます。

ダイヤモンドが水より高い理由

この法則は、日常のさまざまな価格やマーケティングの秘密を解くカギです。代表的な例が「水とダイヤモンドのパラドックス」です。水は生命の維持に絶対必要ですが、身の回りで簡単に手に入るため、もう1杯飲むときの限界効用はとても低くなります。

一方、ダイヤモンドは生きるのにまったく役立ちませんが、世の中にとても希少です。そのため、1つ余分に持てたときに感じる追加的な満足感や喜びが非常に大きくなります。だから消費者が喜んで払う金額は、全体的な有用性(総効用)ではなく、最後の1つがもたらす価値(限界効用)に沿って決まります。実際の価格は、こうした需要と供給(希少性)が出会って決まります。

食べ放題のビュッフェやスーパーの「2個目半額」も同じです。お客さんは食べるほど満足感が下がり、いずれ箸を置くと分かっているから食べ放題のお店が成り立ちますし、2個目の追加の満足感は1個目より小さいので、値段を下げて買いたい気持ちにさせる戦略だと考えられます。

よくある誤解

誤解

限界効用が減ると、全体の満足感もすぐに減る。

事実

限界効用が減っても、新しく得られる満足がプラス(+)であれば、全体の満足感(総効用)は増え続けます。ただ、満足感が増えるスピードがだんだん緩やかになるだけです。

日常で出会う場面

  1. 焼肉食べ放題で最初の一巻きを食べたときの感動と、最後の一巻きを食べるときの淡々とした気持ち

  2. スマホゲームを最初の1時間プレイしたときのワクワクと、5時間連続でプレイしたときの疲労感

つまり ひとことで

モノを1つ追加で消費するたびに増える満足感はだんだん小さくなり、価格は総効用よりも、この最後の1つの価値(限界効用)と希少性を反映します。

作成 2026-08-11 更新 2026-10-13 検証 2026-10-13