定義
パレートの法則とは、結果全体の約80%が、原因全体のわずか20%から生まれるという経験則(観察にもとづく目安)です。世の中の多くの場面では、原因と結果が50対50で公平に分かれるのではなく、少数の重要な原因が結果の大半を生み出している、ということを教えてくれます。
クローゼットの服とアリの巣の秘密
毎朝クローゼットを開けると服がぎっしり掛かっているのに、実際に手に取るのはいつものお気に入り数着だけ、ということはありませんか。よく着る服は、持っている服のごく一部に偏っていることが多いのです。
面白いことに、仕事が均等に分かれない似た姿は自然界でも見られます。アリの集団を長く観察した日本の研究では、働きアリの20〜30%がほとんど働いていませんでした。働き者のアリがいなくなると、休んでいたアリが仕事を引き継ぐこともあります。ただし、この研究のポイントは「休んでいるアリが予備の戦力になっている」ことなので、パレートの法則とまったく同じ現象というわけではありません。
このように、身の回りの多くのことでは、努力と結果が公平に1対1で結びつくわけではありません。少数の重要な要素が、全体の雰囲気や成果の大部分を決めてしまうことがよくあります。
エンドウ豆のエピソードとイタリアの土地
この法則に名前を残したのは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートです。家庭菜園でエンドウ豆の80%が、全体の20%のさやから収穫されたことに気づいたのがきっかけだというエピソードがよく知られていますが、それを裏づける記録は確認されていません。
確かなのは、彼が1890年代の著作で、イタリアの土地の約80%を人口の20%が所有しているなど、富の偏りを取り上げていたことです。この観察に「パレートの法則」という名前をつけ、一般的な原理へと広げたのは、1940年代の品質管理の専門家ジョセフ・ジュランです。
その後、経営学者たちはこの観察をビジネスに応用するようになりました。デパートの売上の80%は上位20%の常連客がもたらし、ソフトウェアのバグの80%はコードの一部の20%から起きる、といった偏りがよく見られることから、広く知られるようになりました。
もう少し正確に言うと
ここで、80と20という数字にこだわりすぎる必要はありません。原因の割合(20%)と結果の割合(80%)は、それぞれ別のものを測った数字なので、足して100になる必要もないのです。状況によっては、上位20%が結果の70%を生むこともあれば、上位10%が結果の80%を生むこともあります。
パレートの法則が私たちに教えてくれる本当の教訓は、「選択と集中」です。何にでも同じ力を注ごうとすると、すぐに疲れてしまいがちです。試験勉強にたとえるなら、教科書のすべての行を同じ重さで暗記するより、よく出る重要な概念を先に押さえる、という形でこの考え方を活かせます。
自分のエネルギーをどこに注げば最も大きな成果につながるのかを見極める知恵を与えてくれること、それこそがこの法則の本質です。
よくある誤解
80と20を足すと100になるので、いつも合計が100%にならなければいけない絶対的な数学の公式である。
原因と結果は測っている基準が違います。上位10%の原因が結果の80%を生むこともあれば、20%の原因が結果の70%を生むこともあるように、2つの数字の合計が100になる必要はありません。大切なのは、原因と結果のアンバランスさです。
日常で出会う場面
デパートの売上の大部分が、ごく一部の上得意客(VIP)によってもたらされる、といった具合です。
スマホに何十個ものアプリが入っていても、普段よく使うアプリは数個だけ、ということが多いものです。
仕事でも、重要な成果の大半が、集中して取り組んだ一部の時間から生まれることがあります。
つまり ひとことで
結果の大部分(80%)が少数の重要な原因(20%)から生まれることが多いという観察で、大切なポイントに集中しようという考え方につながります。