定義
規模の経済とは、モノやサービスをたくさんつくるほど、製品1個をつくるのにかかる平均費用がだんだん下がる経済現象のことです。工場や生産設備を大きくするほど、最初にかかった固定費が多くの製品に細かく分けられるため、結果として1個あたりの原価が下がり、市場で強い価格競争力を得られます。
たい焼きを1個焼くときと1,000個焼くとき
家でたい焼きをたった1個だけ自分で作って食べる場面を想像してみましょう。たい焼きの型を新しく買い、小麦粉の生地とあんこを用意するのに、10,000ウォンを超えるお金と時間がかかります。この場合、たい焼き1個の原価は10,000ウォンを超えることになります。
でも、同じ型と火を使って、たい焼きを100個、1,000個と作るなら、話はまったく変わります。最初に買った型の代金10,000ウォンが何百、何千個ものたい焼きに均等に分かれて、たい焼き1個あたりの型代は数十ウォン、数ウォン程度にまで一気に下がるからです。
このように、生産を始めるときに必ずかかる固定費(家賃や機械の購入費のように、生産量に関係なく出ていくお金)は、モノをたくさんつくるほど、製品1個が背負う分がどんどん薄くなっていきます。
結局、同じ機械と場所を休まず動かして大量につくるほど、モノ1個をつくる平均的な費用は自然と底まで下がっていくのです。
規模が大きくなるほど手に入る、3つの強力な武器
企業が大きくなると、単に固定費を分けるだけではない強力なメリットが、次々と現れます。1つ目は、原材料を大量に仕入れるときに得られる大きな割引です。町のパン屋が小麦粉を1袋買うときより、大手の製パン工場が1万袋を一度に買うときのほうが、ずっと安い単価で交渉できます。
2つ目は、仕事の分業化と専門化です。1人で企画から組み立て、梱包、配送まで全部の段階を引き受けると、手間がかかるうえにミスも増えます。けれども従業員が数百人に増えて、それぞれが担当する仕事をくり返して熟練すれば、作業のスピードも品質も比べものにならないほど上がります。
3つ目は、高価ですぐれた最先端の自動化機械を思いきって導入できることです。1日に10個しかつくらない工場は10億ウォンもする最先端ロボットを入れられませんが、1日に何十万個もつくる大企業は、ロボットを設置して不良率を下げ、生産性を一気に引き上げます。
これらすべてがかみ合うことで、生産規模の大きい企業は、小さい企業にはとても追いつけない低い生産原価を実現できるのです。
もう少し正確にいうと:どこまで大きくなっても安くなり続けるの?
では、とにかく工場を大きくして生産量をどこまでも増やし続ければ、モノを無料に近い値段でつくれるのでしょうか。もう少し正確にいうと、現実にはそうはなりません。生産規模がある限界線を越えて大きくなりすぎると、かえって製品1個あたりの費用がふたたび上がる規模の不経済という現象が起きます。
会社が大きくなりすぎると、従業員は数万人に増え、報告の段階も際限なく複雑になります。1つの決裁をもらうのに何日もかかり、部署どうしのコミュニケーションが詰まって、よけいな管理費用やムダが手に負えないほどふくらむからです。
さらに、工場や事業所が何か所にも増えると、原材料や人をあちこちへ動かす輸送費が増え、現場を監督して調整するための費用も大きくなります。
結局、成功する企業は、やみくもに規模を大きくすることにこだわるより、平均費用がいちばん低くなる最適な生産規模を正確に計算して見つけることに集中します。
よくある誤解
規模の経済は、工場を大きく建てて、たくさんつくりさえすれば、必ず自然に生まれる。
生産設備を大きく増やしても、つくったモノが売れずに倉庫に積み上がると、莫大な在庫管理費と利息のせいで、かえって大きな損失が出ます。大量生産にふさわしい大量販売がきちんと続いてこそ、本当の規模の経済を享受できます。
日常で出会う場面
大型スーパーが町の小さな店よりお菓子を安く売れるのは、全国規模で何十万個も大量に発注して単価を下げているからです。
自動車メーカーが数千億ウォンの研究開発費をかけて新車を設計し、そのあと世界中で数百万台を売って、開発費を1台あたり数万ウォン程度で回収する方式です。
つまり ひとことで
モノをたくさんつくるほど固定費が分けられ、生産効率が上がって、製品1個あたりの平均単価が下がる現象です。