定義
アウトソーシング(Outsourcing)とは、企業がすべての業務を社内で直接こなすのではなく、一部の業務を、より得意だったりコストが低くすんだりする外部の専門企業に任せて処理する経営手法です。企業がいちばん得意な中核業務に力を注ぎ、運営コストを減らすために広く活用されています。
なぜ何もかも自分でやらないのでしょう?
おにぎり屋さんを開業したと想像してみてください。おいしく握ることも大切ですが、毎日野菜や米を仕入れ、出前に走り、お店を掃いて磨き、複雑な税務の帳簿を整理する仕事もあります。もし店主が出前とレシートの整理に1日の半分を使ってしまったら、肝心のおいしいおにぎりを開発する時間が足りなくなってしまいます。
そこで、出前は出前代行業者に、税務の処理は専門の税理士に任せたらどうでしょう。店主は自分がいちばん得意なおにぎり作りと新メニューの開発に、すべてのエネルギーを注げます。任せた仕事も、長年の経験を持つ外部の専門家が代わりにやるので、かえって速く、きれいに片づくこともあります。
このように、企業がいちばん自信のある中核分野だけを残し、そのほかの補助的な業務を外部の専門機関に任せるやり方を、アウトソーシングといいます。何でも一人でこなそうとする非効率を減らす、賢い選択です。
アウトソーシングが生み出す高い効率
アウトソーシングのいちばん分かりやすい長所は、コスト削減です。たとえばある会社がカスタマーサポートセンターを運営しようとするとき、オペレーターを直接採用すると、毎月の給料や福利厚生費、相談用のパソコン、オフィスの賃料まで、莫大な固定費が絶えず発生します。
でもカスタマーサポートの専門業者と契約してアウトソーシングすれば、必要な規模と期間に合わせて費用を払えばすみます。季節や状況によって問い合わせ量が増えたり減ったりしても柔軟に対応できるので、会社の財政に大きなゆとりが生まれます。
また、最新の技術を手軽に借りて使えるという強みもあります。情報セキュリティ、データ分析、クラウドインフラのように急速に進歩する技術を自前で構築しようとすると、長い時間と天文学的な研究費がかかりますが、専門業者を活用すれば、すでに整った専門的な力をすばやく借りて使えます。
もう少し正確に言うと:便利さの裏に隠れたリスク
アウトソーシングは、いつでも成功を約束してくれる魔法の杖ではありません。いちばん大きな問題は、外部業者が作った成果物の品質を完全にはコントロールしにくいことです。協力会社のミスでサービスの質が下がったり納期が遅れたりすると、被害を受けるのはもともとそのブランドを信頼して買った消費者で、非難と責任はそっくりそのまま、仕事を任せた元のブランドが背負うことになります。
さらに、業務を外部に頼りすぎると、肝心の自社の中にノウハウや技術がまったく蓄積されない「技術の空洞化」が起こることがあります。最悪の場合には、会社の大切な顧客情報や重要な営業秘密が漏れるという致命的な事故につながることもあります。
そのため、成功している企業は、自社ならではの競争力になる中核業務と、外に出しても安全な非中核業務を厳しく区別しています。人に任せてよいものと、絶対に手放してはいけない中核を見分ける目が、アウトソーシングの成否を分けるのです。
よくある誤解
アウトソーシングは、単に人件費を節約するために社員を減らして下請けに出すことだ。
コスト削減がいちばんの理由であることも多いですが、それがすべてではありません。会社の中核となる力に集中し、専門分野は外部の専門家の力を借りて競争力を高めるという目的も、あわせてあります。
日常で出会う場面
アップルはスマートフォンのデザインとOSの開発に集中し、機器の部品の生産と組み立ては、フォックスコンなどの専門の製造企業にアウトソーシングしています。
大手の金融会社やネット通販サイトは、お客様センターの電話対応やサーバーのセキュリティ管理を、専門のITサービス企業に委託して運営しています。
つまり ひとことで
会社がいちばん得意な中核業務に集中するために、そのほかの補助的な業務を外部の専門業者に任せて効率を高める経営戦略です。