定義
韓国の労働法では、遊園地でフリーパスの代わりに単発の乗り物券だけを持って入場した人のように、働く時間を法的な基準線のすぐ下に刻んだ働き口を超短時間労働者といいます。具体的には、4週間の平均で、1週間に働く約束をした時間(所定労働時間)が15時間未満の労働者を指します。勤務時間がとても短いため、法が定める各種の有給の恩恵や退職金などの保護網から外れます。
15時間という目に見えない敷居
週末の午後ごとにカフェやコンビニで、1日7時間をちょうど2日、合計14時間働くアルバイトの人を思い浮かべてみてください。このように、1週間に働くとあらかじめ約束した時間が15時間に満たない人を、韓国の法律では超短時間労働者と呼びます。14時間30分働いても5時間働いても、どちらもこの基準線の下にとどまります。
韓国の労働法では、1週間15時間を一種の大きな「恩恵の敷居」にしています。この敷居を越えれば、法が定めるさまざまな保護や有給の恩恵をしっかり受けられますが、敷居に届かなければ主要な保護網から外れてしまいます。働く時間が少ないので、保護の水準もそれに合わせて低くなる仕組みです。
そのため、人件費の負担を減らしたい多くの雇用主が、勤務時間を15時間未満に刻んで雇う方法を選びがちです。ひとりが30時間働ける枠を、二、三人に細かく分けて任せる、いわゆる「細切れバイト」(チョゲギアルバ)が身の回りに広がっている理由です。
週休手当と退職金がなくなる理由
超短時間労働者として働くと、一般の労働者と比べて何が変わるのでしょうか。まず肌で感じる違いは、毎週口座に入る給料の計算方法です。ふつう、1週間に15時間以上働く労働者は、決められた勤務日をすべて満たすと、1日分の有給の休日手当である週休手当(チュヒュスダン)をもらう権利が生まれます。しかし、15時間未満で働く超短時間労働者には、この週休手当は適用されません。
それだけではありません。ひとつの職場で1年以上まじめに働いても、のちに辞めるときに法定の退職金をもらえません。また、1年間がんばって働いた対価として与えられる有給休暇である年次休暇も、与えられません。働く日に、働いた時間の分だけ時給をもらう仕組みです。
よくいう4大保険でも大きな差が出ます。職場で起きた事故を補償する労災保険(産災保険)は必ず適用されますが、国民年金・健康保険・雇用保険は、原則として加入義務の対象から外れます。
ただし、ここには大事な例外があります。雇用保険は、ひとつの職場で3か月以上続けて働けば、週15時間未満でも加入対象になります。国民年金と健康保険は、週ではなく「月60時間」を基準にするため、勤務の形態によっては加入対象になることもあります。さらに、2027年1月からは、雇用保険の加入基準が労働時間から「月の報酬80万ウォン以上」に変わります。短時間の勤務でも長く勤めているなら、自分の保険の加入状況をぜひ確認してみてください。
もう少し正確にいうと:柔軟性の裏側
もう少し正確にいうと、超短時間労働は、かならず労働者に不利なだけの形ではありません。学業とアルバイトを両立しなければならない学生や、育児で長い時間をつくりにくい養育者にとっては、生活スタイルに合わせた柔軟な働き口になりえるからです。短い時間だけ集中して働き、残りの時間を自由に使えるという良さもあります。
しかし現実には、安定した正規の仕事に就けず、やむなく短いアルバイトをいくつも掛け持ちする場合が多くあります。生計を立てるためにコンビニ2軒を行き来し、それぞれ14時間ずつ合計28時間働いても、店ごとに別々に計算されるため、週休手当や退職金はまったくもらえません。
こうしたことから、労働市場では、15時間という基準線が弱い立場の労働者を守るどころか、むしろ不安定な細切れの働き口を増やす道具として使われているという声が絶えません。
よくある誤解
超短時間労働者は、職場で事故にあっても労災保険の恩恵をまったく受けられない。
労災保険は、勤務時間に関係なく、たった1時間働いただけでも必ず適用されます。超短時間労働者も、職場で事故にあえば、法的に労災の補償を受けられます。
日常で出会う場面
土曜日7時間、日曜日7時間の合計14時間働く、週末コンビニのアルバイトの人
平日のお昼のピークタイムに2時間ずつ、週5日(合計10時間)ホールを手伝う飲食店のアルバイトの人
つまり ひとことで
週15時間未満で働くため、週休手当・年次休暇・退職金などの法的な恩恵から外れる短い働き口です。