定義
アセットアロケーション(資産配分)とは、持っているお金を、株式・債券・金(ゴールド)・現金のように性格や値動きが異なる資産に分けて持つ投資方法です。特定の市場が大きく揺れても全体が崩れないように安全網をつくり、長期的に安定した成果を目指します。
なぜ「卵を一つのカゴに盛るな」と言うのでしょう?
明日の天気を完璧に当てられないように、金融市場の先行きも誰にも断言できません。明日いきなり株価が暴落するのか、金利が急上昇するのかを当てることは、優秀な専門家でもほぼ不可能です。
もし全財産を特定の会社の株1銘柄だけに入れていたら、どうなるでしょうか。その会社に思わぬ危機が訪れたとき、大切な資産全体が一瞬で大きな損失を被ります。ところが、性格がまったく違う資産にお金を分けておけば、一方で損が出ても、もう一方がしっかり支えてくれます。
たとえば景気が悪くなって株価が下がるとき、安全資産とされる国債(国が発行する債券)の価格は、むしろ上がる傾向があります。このように反応が異なる資産を組み合わせて投資のリスクを効果的に下げる技術が、資産配分の出発点です。
もう少し正確に言うと:銘柄選びより大切な「比率」
投資を始める多くの人は、「これから大化けする銘柄はどれ?」「いつ売り買いすべき?」を真っ先に悩みます。しかし、いくつかの金融研究によれば、ポートフォリオの収益率が時期ごとに上下する幅の大部分は、どの個別銘柄を買ったかではなく、資産をどんな比率で分けたかから生まれるといわれています。
ここでいう資産クラスとは、株式、債券、コモディティ(金、原油など)、不動産、現金のように、それぞれ固有の性格を持つ資産のかたまりのことです。いろいろな会社の株をバランスよく買うのは、同じ資産クラスの中で分ける「銘柄分散」。株式と債券のように、性格そのものが違う資産クラスの間でお金を分けるのが資産配分です。どちらも広い意味では分散投資ですが、分ける次元が違います。
これらの資産は、経済の局面によって異なる動きをすることが多いです。好景気のときは企業の利益が増えて株式が強く、不況や金融危機が訪れると、安全な債券やドルの価値が上がります。ただし、物価と金利がそろって急上昇する時期には、株式と債券が一緒に下がることもあり、資産配分で損失を完全になくせるわけではありません。それでも、どんな天気でも一度に崩れないバランスの取れたポートフォリオをつくることが肝心です。
リバランス:資産配分の仕上げ
最初に株式と債券を50対50できれいに分けておいても、時間がたつとそのバランスは自然に崩れていきます。株式市場が大きく上昇すれば、投資額全体に占める株式の割合は70%や80%まで膨らむものです。
膨らんだ比率を放っておくと、株式市場が暴落したときに、当初の想定よりずっと大きな打撃を受けてしまいます。そこで、一定の周期ごとに、比率が大きくなった株式を一部売って利益を確定し、相対的に比率が小さくなった債券を買い増して、元の50対50に戻します。
この作業をリバランス(資産比率の再調整)と呼びます。上がった資産を減らし、上がっていない資産を補う作業を、感情ではなく、あらかじめ決めたルールに沿って行うための方法です。ただし、リバランスで収益が増える保証はなく、売買にコストがかかることもあります。
よくある誤解
資産配分とは、いろいろな株を満遍なく買い集めることだ。
電機、自動車、バイオなど複数の株に分けて買うのは「銘柄分散」です。資産配分とは、株式・債券・金・ドルのように、性格やリスク要因が異なる「資産クラス」そのものを組み合わせることを指します。
日常で出会う場面
株式と債券を60対40の比率で持ってリスクを抑える、昔ながらの「60/40ポートフォリオ」が代表例です。
2008年の金融危機のように株価が暴落するなか、米国債やドルの価値が上がって口座全体の損失を和らげたケースがあります。ただし、いつもそう動くとは限りません。
つまり ひとことで
異なる動きをする資産をバランスよく持ち、定期的に比率を整えることでリスクを抑える投資戦略です。