韓国の「空き缶チョンセ(깡통전세)」

中身は空っぽで見かけ倒し、叩くとカンカンと甲高い音が鳴る「空き缶」のような家です。

定義 中古品を質入れしてお金を借りたのに、その物の価値が借金額より下がってしまったらどうなるでしょうか? 売却しても借りたお金を全額返せなくなってしまいますよね。「空き缶チョンセ(깡통전세)」とは、まさにこのような状態に陥った韓国の賃貸住宅のことです。大家が銀行から借り入れた融資額と、入居者が預けたチョンセ保証金(※家賃なしで入居時に預ける高額保証金)の合計が、物件の実際の売買価格に迫るか上回ってしまい、後で家を売っても入居者が保証金を全額返還してもらえない危険な家を指します。

中身はなく借金だけが詰まった家

韓国でチョンセ物件に入居する際は、退去時に預けた保証金が100%戻ってくるという信頼が前提にあります。しかし、大家の銀行借入金と自分のチョンセ保証金の合計が物件価格の80%を超えると危険信号が灯ります。

例えば2億ウォン(約2,200万円)のヴィラ(低層集合住宅)に銀行融資が1億ウォンあり、チョンセ保証金が1億2,000万ウォンだとすると、合わせた負債は2億2,000万ウォンになります。物件価格より負債の方が多くなってしまった状態です。この家を市場で売っても2億ウォンにしかならないため、大家が自腹を切ってお金を工面しない限り、入居者に保証金を全額返すことはできません。

結局、大家の正味の資産はゼロで、家全体が他人からの借金だけで満たされているため、見た目だけで中身がすっからかんな「空き缶(깡통)」のような殻だけの家と呼ばれるのです。

正常チョンセとカントン比較図 住宅価格 正常な伝貰 自己資本40% 保証金 60% 缶詰伝貰 保証金 70% 銀行融資40% ⚠️ 保証金未返還リスク

もう少し詳しく:なぜ発生するのか?

空き缶チョンセが発生する主な原因は、不動産価格の下落と無理な「ギャップ投資(入居者のチョンセ保証金を元手に自己資金ほぼゼロで物件を買い増す手法)」です。不動産価格が上がり続けると過信し、入居者から預かった保証金だけを頼りに何十軒もの住宅を買い占めた大家が存在します。

しかし、不動産市場が冷え込んで住宅価格が下落すると問題が噴出します。次の入居者を探そうにもチョンセ相場自体が下がっているため、退去する入居者に返すお金が足りなくなります。大家がお金を用意できなければ、物件は裁判所の競売にかけられることになります。

もう少し正確に言うと、競売で物件が落札される価格は通常、市場価格より大幅に安くなります。さらに、銀行の担保権(根抵当権)や滞納された税金が入居者のチョンセ保証金よりも優先して回収されるため、入居者は預けた保証金の大部分を失ってしまう被害に遭うのです。

大切な保証金を守る3つの予防策

空き缶チョンセの被害を避けるには、契約前に念入りな確認が必要です。まず、不動産の身分証である「登記簿謄本」を取り寄せ、その物件にどれだけの銀行融資(根抵当権)が設定されているか確認します。

次に、物件価格に対するチョンセ保証金の割合(チョンセ比率)を計算します。一般的にマンションなら売買相場の70%以下、相場が把握しにくいヴィラなら60%以下であれば比較的安全と評価されます。

そして最も確実な安全装置は、「チョンセ保証金返還保証保険」に加入することです。万が一大家がお金を返せなくなっても、公的な保証機関(HUGなど)が入居者に代わって保証金を立て替え払いし、その機関が大家から回収を行ってくれるためです。

逆ざやチョンセ予防 契約前3段階点検リスト 1 登記簿謄本確認 根抵当・借入照会 2 70 チョンセ率確認 売買値の70%以下 3 保証保険加入 保証金返還を保証

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

物件に銀行からの借金が一切なければ、チョンセ保証金は絶対に安全である。

✓ 事実

銀行の借入金がゼロであっても、チョンセ保証金の額面自体が売買相場に迫るか上回っていれば空き缶チョンセになります。将来的に不動産価格が下落して大家が保証金を返せなくなった場合、家を競売にかけても保証金を全額回収できない恐れがあります。

🧺 日常で出会う場面

1 売買相場が1億5,000万ウォン(約1,650万円)の新築ヴィラにチョンセ保証金1億5,000万ウォンで入居したが、2年後にヴィラの相場が1億2,000万ウォンに下落した場合
2 物件価格3億ウォンのマンションに1億5,000万ウォンの銀行融資がある状態で、チョンセ保証金1億8,000万ウォンで契約した場合(負債総額3億3,000万ウォン)
💡 つまり ひとことで

大家の借入金とチョンセ保証金の合計が物件価格を上回るか同等になり、退去時に保証金が返還されないリスクが高い状態の住宅です。