定義
株式市場でこれから値上がりしそうな銘柄をわざわざ選ぼうとしない投資手法です。その代わりに、市場全体を代表するまとまり(指数)にそのまま連動させ、市場平均並みのリターンを目指します。銘柄選びに手間がかからない分、手数料(信託報酬などのコスト)が低く抑えられる点が大きな特徴です。
クラスで1位になる人を事前に当てられるでしょうか
テストの前に「今回のテストでクラスの誰が1位になるか当ててみて」と言われたらどうでしょうか。運よく何回かは当たるかもしれません。しかし、毎回のテストで当て続けるのは至難の業です。
ですが、別の方法もあります。たった1人を選ぶ代わりに、クラス全員を丸ごとパッケージにしてしまうのです。そうすれば、今回の1位が誰であっても関係なく、クラスの平均点をそのまま手に入れることができます。
株式市場にも、まさにこの2つの道があります。これから伸びる企業を事前に見極めようとする道と、市場にある企業を幅広く買って市場平均に追従しようとする道です。
この後者がパッシブ投資です。市場を代表する企業を集め、その株価をまとめてひとつの数値で表したものを「指数(インデックス)」と呼びます。指数に含まれる企業を、決められた比率のまま丸ごと買い付けるのが、この手法の基本です。
なぜ市場平均についていく道を選ぶのでしょうか
特定の1人を選び出そうとすると、多くの手間と労力がかかります。どの生徒の成績が伸びるか調べるには、ノートを細かくチェックしたり頻繁に様子を観察したりしなければなりません。株式市場でも、企業をリサーチして頻繁に売買を繰り返すたびにコストが発生します。
一方、クラス全体を丸ごと抱える側は、決められた名簿に沿って機械的に買うだけで済みます。判断の手間が少ない分だけ運用にかかるコストも低く抑えられます。
手数料の違いは、1年単位で見ればわずかに思えるかもしれません。しかし、毎年の運用益から少しずつ引かれていくため、年数が長くなるほどその差は大きく広がります。市場平均に勝とうと必死に戦った結果、かかったコストのせいで平均以下の成績に終わってしまうことも珍しくありません。
パッシブ投資の根底にあるのはこの考え方です。平均を無理に超えようと余計なコストをかけるくらいなら、できるだけ低いコストで市場平均のリターンを確実に受け取ろうという発想なのです。
より正確に理解するために
「平均についていく」からといって、損をしないという意味ではありません。クラス全体の平均点が下がってしまった難しいテストでは、クラス全体を抱えている人の点数も一緒に下がります。市場全体が下落している局面では、パッシブ投資の成績も同じように落ち込みます。
また、選ぶ作業が完全になくなるわけでもありません。「どのクラス(市場)を選ぶか」、つまり「どの指数に連動させるか」という選択は依然として残ります。自国の市場を選ぶこともできれば、世界中の国々に広く分散させることもできます。
個別銘柄を自ら厳選する反対のアプローチは「アクティブ投資」と呼ばれます。どちらが優れているかと一概に決めつけるのではなく、市場全体を丸ごと抱える道と特定の銘柄を選ぶ道では、目標もコストも異なるという点を理解することが大切です。一方は平均を確実に得ようとし、もう一方は平均超えを目指す代わりに高いコストと期待外れのリスクを背負っています。
よくある誤解
パッシブ投資は市場平均に連動するため、元本が保証される安全な投資法である。
平均についていくということは、市場が下落するときには一緒に下がるということです。他の投資と同様に元本割れのリスクがあります。
パッシブ投資は何の判断もせず、ただ完全放置するものだ。
どの指数(市場)に連動させるかを決め、投資を継続するルールを守る判断は必要です。判断の頻度が大幅に減るだけであって、ゼロになるわけではありません。
日常で出会う場面
TOPIXや日経平均株価など、代表的な企業群を集めた指数に連動する投資信託やETFに投資するスタイルです。
全世界の株式を幅広くカバーする指数を1つ選び、毎月一定額を長期で積み立てていく方法です。
つまり ひとことで
値上がりする個別銘柄を選び抜く代わりに、市場全体を代表する指数にそのまま連動させ、低コストで市場平均のリターンを着実に得ることを目指す投資手法です。