定義
ETF(上場投資信託)と一般の投資信託は、多くの投資家から集めた資金をまとめてさまざまな株式や債券に分散投資する金融商品です。どちらも1つの商品で手軽に分散投資ができる点は同じですが、株式市場でリアルタイムに直接売買できるか、それとも銀行や証券会社などの販売会社を通じて申し込み、申込後に決まる1日1回の基準価額で取引するのかという点に大きな違いがあります。
カゴに詰め合わせたフルーツギフトセット
リンゴや梨、ブドウを1つずつ選ぶのではなく、きれいに詰め合わされたフルーツカゴを丸ごと買う場面をイメージしてみてください。個別の株を1銘柄ずつ買おうとすると多額の資金が必要でリスクも高くなりますが、投資信託やETFなら少額からでも何十社もの企業へ一度に投資できます。
このように複数の資産にお金を分けてリスクを抑える方法を分散投資と呼びます。カゴの中の果物が1つ傷んでしまってもカゴ全体が台無しにはならないように、ある企業の株価が下がっても他の企業が支えてくれるため、1社が原因で起こる損失リスクを減らせます。ただし、市場全体が下落するときはカゴ全体の価値も一緒に下がってしまうことがあります。
結局のところ、投資信託とETFの出発点と目的は同じです。個人が数多くの企業を一つひとつ分析・管理するのは難しいため、プロや特定のルールに従って優良な資産をひとまとめにした商品を買うのです。
デパートのお取り寄せとスーパーの陳列棚の違い
2つの商品の決定的な違いは、「どこでどのように売買するか」にあります。一般的な投資信託は、デパートのカウンターで注文書を書いて数日後に商品を受け取るお取り寄せ便に似ています。銀行や証券会社の窓口やアプリなどを通じて申し込み、どこで購入しても申し込み後に1日1回算出される唯一の価格(基準価額)で取引されます。現金化しようとしても数日待たなければなりません。
一方のETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託)は、その詰め合わせカゴにバーコードを貼り、株式市場という大型スーパーの陳列棚にそのまま並べたような商品です。市場が開いている間は、一般の個別株を売買するのと同じように刻一刻と変動するリアルタイムの市場価格ですぐに売買注文を出して成立させることができます。つまり2つの違いは窓口かアプリかではなく、リアルタイムの市場価格で取引するか、1日1回の基準価額で取引するかです。ただし、売却した代金の出金には通常2営業日ほどかかります。
コスト面にも違いがあり、これは取引方法というより運用方針の違いによる影響が大きいです。指数に連動するETFは、ファンドマネージャーが銘柄を厳選するアクティブ型の投資信託に比べて信託報酬(運用コスト)が低く抑えられているケースが多いです。ただし、ETFも株式と同じように売買時の取引手数料がかかり、低コストなインデックスファンド(投資信託)であればETFとコスト水準がほとんど変わらないこともあります。
もう少し詳しく掘り下げると
運用方法にも大切な違いがあります。伝統的な一般的な投資信託は、ファンドマネージャーが「市場平均を上回るリターンを目指す」として頻繁に銘柄を入れ替えるアクティブ(Active)運用が多く見られます。プロの手腕によって市場平均以上の高い成果を出せる可能性がある一方、読みが外れると損失を抱えた上に高い手数料ばかりを支払うリスクがあります。
これに対し、多くのETFは日経平均株価や米国のS&P500のように特定の株価指数の動きにそのまま連動する指数連動型(パッシブ・インデックス)運用を採用しています。指数に素直に追従するため、どの銘柄にどう投資されているのかが透明で、運用手数料の無駄も省けます。ただし指数そのものが上がったり下がったりするため、利益があらかじめ決まっていたり保証されたりするわけではありません。
もちろん最近では、ETFの中にも専門家が銘柄を選ぶアクティブETFが登場していたり、一般の投資信託にも指数に連動するインデックスファンドが存在したりして境界があいまいな部分もあります。それでも根本的な見極めポイントは、「株式市場でリアルタイムに直接売買できるかどうか」という点にあります。
よくある誤解
ETFは一般的な投資信託とはまったく別の株式商品である。
ETFもたくさんの銘柄をひとまとめにした投資信託(ファンド)の仲間です。ただ、投資家が株式のようにリアルタイムで手軽に取引できるよう、取引所に上場させてある特別な投資信託なのです。
日常で出会う場面
米国の代表的な500社にまとめて投資したい場合、500銘柄を一つひとつ買い集めなくても、S&P500連動ETFを1株買えば済みます。
銀行窓口やネット証券で投資信託の積立を申し込み、毎月2万円ずつ自動引き落としで投資していくのが、典型的な公募投資信託の投資スタイルです。
つまり ひとことで
投資信託とETFはどちらも複数の銘柄を詰め合わせたカゴですが、ETFは市場が開いている間に株式と同じように取引所でリアルタイムに売買できるカゴです。