定義
銀行の通帳に書かれた金利から物価上昇率(インフレ率)を差し引いた、本当の金利(利回り)のことです。利息をもらってお金の額面が増えたとしても、それ以上に物価が上がってしまえば、実際に買えるモノの量である「購買力」はむしろ減ってしまうからです。
たい焼きでわかる、通帳の秘密
1万ウォン(約1,100円)で、1個1,000ウォン(約110円)のたい焼きが10個買える世界を想像してみてください。この1万ウォンを銀行に1年間預けて、年5%の利息をもらったとします。1年後の通帳残高は1万500ウォンになり、数字だけを見れば確かに500ウォン増えています。
ところが、この1年の間にたい焼きの値段が1,000ウォンから1,100ウォンへと10%値上がりしていたらどうなるでしょうか? 手元にある1万500ウォンを持っていっても、たい焼きは9個しか買えません。計算すると1万500ウォンはたい焼き約9.5個分にすぎず、利息を受け取ったにもかかわらず購買力は約4.5%も落ちてしまったことになります。
銀行が提示する5%という金利は、あくまで見かけの数字にすぎません。物価が上がったせいで、お金の本当の価値は目減りしてしまったのです。この場合、実質金利は約マイナス4.5%になります。このように、目に見える金額ではなく実際に買えるモノの量を基準にして測った本当の金利こそが「実質金利」です。
もう少し正確に言うと:フィッシャー方程式
私たちが銀行の窓口やニュースで目にする金利は、物価の影響を考慮していない「名目金利」です。物価上昇率があまり大きくないときは、名目金利から物価上昇率を差し引くことで実質金利をシンプルに計算できます。これは経済学のフィッシャー方程式を簡略化した近似式です。
例えば、銀行の預金金利が年4%で、物価が3%上がったとすると、実質金利は1%になります。利息として増えた分から物価の上昇分を差し引き、手元に残る本当の利益が1%という意味です。
では、預金金利が年3%なのに物価が5%も跳ね上がった場合はどうなるでしょうか? 実質金利はマイナスに転じ、マイナス2%になります。通帳には利息がしっかり振り込まれていても、お金の購買力が静かに目減りしていく現象が起きるのです。
実質金利はなぜ重要なのか?
実質金利は、貯蓄や投資の環境を見極めるうえで欠かせない指標です。実質金利がマイナスになると、現金のまま持っていたり銀行に預けておくだけで購買力が目減りしていくため、不動産や株式などほかの資産へお金を動かそうとする動きが強まります。
反対に、中央銀行が利上げを行って実質金利が高くなると、人々の行動は一変します。リスクのある投資を避け、安全な銀行預金にお金を置いておく選択がはるかに魅力的に映るようになるからです。
お金を借りている人にとっても、実質金利は極めて重要です。実質金利が低い時期は、物価上昇によって借金の実際の重みが薄れるため負担が軽く感じられます。しかし実質金利が急上昇すると、ローンの返済による家計への打撃が一気に重くのしかかってきます。
よくある誤解
銀行の金利がプラス(+)なら、自分のお金は常に増え続けている。
物価上昇率が銀行の金利を上回ると実質金利はマイナスになり、通帳の数字が増えていても実際に買えるモノの量(購買力)はむしろ減ってしまいます。
日常で出会う場面
年4%の定期預金に預けても、1年間の物価が5%上がれば実質金利はマイナス1%になります。
給料の額面が3%上がっても、食費や光熱費などの生活物価が5%上がれば、実質的な収入は減ったのと同じです。
つまり ひとことで
実質金利とは、銀行の金利(名目金利)から物価上昇率を差し引いた本当の金利のことで、自分のお金の購買力が実際にどう変化したかを示してくれます。