実質金利
通帳の数字が増えるスピードから物価の上昇スピードを引いた、お金の「本当の購買力」の通知表です。
定義 銀行の通帳に書かれた金利(表面上の利率)から物価上昇率を引いた、本当の金利のことです。利息をもらってお金の数字が増えたとしても、それ以上にモノの値段が上がってしまえば、実際に買えるモノの量である「購買力」はむしろ減ってしまうからです。
たい焼きでわかる通帳の秘密
1,000円で1個100円のたい焼きが10個買える世界を想像してみてください。1,000円を銀行に1年間預けて、年5%の利息をもらったとします。1年後の通帳残高は1,050円になります。数字だけを見れば、確かに50円増えていますよね。
ところが、この1年の間にたい焼きの値段が100円から110円へと10%値上がりしたらどうなるでしょうか? 1,050円を持ってお店に行っても、たい焼きは9個しか買えません。利息をもらったはずなのに、1年前よりたい焼きを1個少なくしか食べられなくなってしまったのです。
銀行が約束してくれた5%という金利は見かけにすぎません。物価が上がったせいで、お金の本当の価値はむしろ目減りしてしまったのです。このように、目に見える金額ではなく実際に買えるモノの量を基準にして測った本当の金利が実質金利です。
もう少し詳しく:フィッシャー方程式
もう少し正確に言うと、私たちが銀行の窓口やニュースで目にする金利は、物価の影響を考慮していない「名目金利」です。そして、名目金利から物価上昇率を引いて求めるのが実質金利です。これを経済学ではフィッシャー方程式と呼びます。
例えば、預金金利が年4%で物価が3%上がった場合、実質金利は1%になります。増えたお金から物価に削られた分を差し引いた、本当のプラスが1%だということです。
もし預金金利が年3%なのに物価が5%も跳ね上がったらどうなるでしょうか? 実質金利はマイナスとなり、-2%になってしまいます。通帳に利息がきちんと入っていても、お金の購買力が静かに溶けていく現象が起きるのです。
なぜ実質金利を確認する必要があるの?
実質金利は、個人が貯蓄や投資を判断する際に必ず確認すべきコンパスです。実質金利がマイナスになると、現金のまま持っていたり銀行に預けたりするほど損をするため、人々はお金を不動産や株式、ゴールドなどの実物資産へと移すようになります。
逆に、中央銀行が利上げを行って実質金利が高くなると、人々の行動は正反対に変わります。リスクの高い投資を避け、安全な銀行預金にお金を置いておく選択のほうがずっと魅力的になるからです。
また、お金を借りている人にとっても実質金利は決定的な影響を持ちます。実質金利が低いときはインフレが借金の実際の価値を目減りさせてくれるため負担が軽くなりますが、実質金利が跳ね上がると借金の利息を返す負担感は一気に重くのしかかります。
🤔 よくある誤解
銀行の金利がプラス(+)なら、自分のお金は常に増え続けている。
物価上昇率が銀行金利を上回ると実質金利がマイナスになり、通帳の数字が増えても実際に買えるモノの量(購買力)はむしろ減ってしまいます。
🧺 日常で出会う場面
実質金利とは、銀行の金利(名目金利)から物価上昇率を引いた「本当の金利」であり、お金の実際の購買力の変化を示します。