経済

72の法則

雪だるまを作るときに、雪玉が2倍の大きさに膨らむまでにかかる時間をサッと見積もれる暗算の公式です。

  • 約4分
  • 図 1点
  • 2026-10-12 検証

定義

複利(利息にさらに利息が付く仕組み)でお金を運用するときに、元本が2倍になるまでにかかる年数を簡単に割り出す計算ルールです。数字の「72」を年利や目標利回りで割るだけで、資産が2倍になるまでに必要な年数が瞬時に分かります。

複雑な計算機いらず!元本が2倍になるまでの時間

丘の上から雪玉を転がすと、最初はゆっくり大きくなりますが、転がすほど勢いを増してどんどん巨大化していきます。元本に付いた利息が翌年には新たな利息を生み出す「複利」も、まさにこの雪だるま(スノーボール)と同じ仕組みです。時間が経つにつれて増えるスピードは想像をはるかに超えていきます。

しかし、自分のお金がいつきっかり2倍になるのかをあらかじめ計算するのは簡単ではありません。本来なら対数(ログ)という複雑な数学の公式を使って電卓を叩く必要があります。そんなときに「72」という数字さえ覚えておけば、難しい計算をしなくても元本が2倍になる年数をほんの数秒で導き出せます。

例えば、年利6%の金融商品でお金を運用したとしましょう。72を6で割ると12になります。つまり、元本が2倍に増えるまでにおよそ12年かかるということです。もう少し積極的に投資して年利8%で運用できたとすれば、72を8で割って、わずか9年で元本が2倍になります。

逆に、目標とする期間を先に決めて必要な利回りを逆算することもできます。もし「6年でお金を2倍に増やしたい!」と思ったら、72を6で割って、年12%の利回りを目指せばよいという計算がすぐに立ちます。

物価がお金の価値を「半分」にするまでの時間

この公式は、お金を増やす投資の計算だけに使うものではありません。毎年上がる物価が、口座にあるお金の実質的な購買力をどう削り取っていくかを確かめるときにも、まったく同じように活用できます。物価が上がるということは、裏を返せば「お金の価値が下がる」ことを意味するからです。

もし物価が毎年3%ずつ上がり続けると仮定してみましょう。72を3で割ると24になります。これは、いま持っている1億ウォン(約1,100万円)の実質的な購買力が、半分の5,000万ウォン(約550万円)レベルに目減りするまでに約24年かかるという意味です。24年後には、いま同じ生活水準を保つために2倍のお金が必要になります。

通帳にお金を眠らせておくだけでは、通帳上の数字こそ変わりませんが、実際にモノを買う力(購買力)は確実に減り続けていきます。このように、目に見えにくい物価上昇のインパクトを実感させてくれるのも72の法則の力です。

そのため、この公式は単にお金を増やす期間を計算するだけでなく、インフレ(物価上昇)から大切な資産を守るために最低でもどれくらいの利回りで運用すべきかという目安を立てる際にも、非常に頼もしい道しるべになってくれます。

もう少し詳しく知りたい人のために

利息が途切れることなく付き続ける「連続複利」の場合、元本がきっちり2倍になる数字は72ではなく約69.3です。これは自然対数の値(ln 2 ≒ 0.693)から導き出された数字です。ただ、年に1回利息が付く一般的な複利の場合、利回りが年6〜10%前後であれば、むしろ72を使ったほうが実際の数値に近くなります。

では、なぜ世界中の金融のプロたちは69.3ではなく72を広く使っているのでしょうか? その理由は、この精度の高さに加え、72という数字が2、3、4、6、8、9、12など多くの数字できれいに割り切れるからです。日常生活で小難しい小数を扱うよりも、圧倒的に暗算しやすく直感的だからですね。

この計算法は、利回りが年5%から12%程度という一般的な投資環境であれば、実際の複利計算と比べてもほとんど誤差が出ません。日頃の資産形成やマネープランで使うには十分すぎるほどの精度を誇ります。

ただし、利回りが年20%を大きく超えたり、2%未満のように低すぎたりする場合は、実際の年数とのズレがやや大きくなります。そのため、小数点以下の厳密な計算を求めるのではなく、資産がどう増えていくかの大まかな感覚を素早く掴むツールとして使うのが最適です。

よくある誤解

誤解

72の法則は、単利(元本にのみ利息が付く仕組み)の預金にもそのまま当てはまる。

事実

複利(利息がさらに利息を生む仕組み)の投資にだけ使える公式です。単利の商品は毎年元本に対して一定額の利息が足されるだけなので、元本が2倍になるまでにはるかに長い時間がかかります。

日常で出会う場面

  1. 毎年4%の複利利回りが維持できると仮定すると、72 ÷ 4 = 18となり、約18年後に元本が2倍になります(※実際の運用利回りは年によって変動します)。

  2. 毎年物価が4%ずつ上昇し続けると、72 ÷ 4 = 18年後に手元の現金の購買力(実質的価値)は半減してしまいます。

つまり ひとことで

72を利回りやインフレ率で割るだけで、自分のお金が「2倍になる年数」や「価値が半分になる年数」を簡単に暗算できます。

作成 2025-12-25 更新 2026-10-12 検証 2026-10-12