法人税

個人がお給料から所得税を納めるように、会社が1年間の事業で稼いだ純利益にかかる「会社の所得税」です。

定義 法人税とは、法律上の「人」として認められた会社(法人)が1年間に稼いだ純利益(所得)に対して国や自治体に納める税金のことです。個人が働いて得た収入に所得税がかかるのと同じように、法人という経済主体も社会の一員として稼いだお金の一部を税金として負担します。この税金は全体の売上ではなく、かかった費用(経費)を差し引いた純利益にのみ課されます。

売上ではなく「純利益」にかかります

例えば、パン屋さんを開業して1年間に1000万円分のパンを売ったとしましょう。この1000万円がまるまる手元に残るわけではありません。小麦粉などの材料費、店舗の家賃、従業員の給与などで800万円使ったとしたら、実際に儲けた金額(手元に残る利益)は200万円だけですよね。

法人税もまったく同じ仕組みで計算されます。会社が得た全収入(売上)から、商品を作って売るためにかかったすべての経費を差し引き、本当に残った純利益に対してのみ税金を計算します。売上が何十億円あったとしても、工場建設や原材料の購入でお金を使って利益が残っていなければ、税金の負担は大きくありません。

もし1年間一生懸命働いたけれど赤字で利益が出なかったらどうなるでしょうか? 儲けがゼロなので、その年の法人税(所得に対してかかる部分)もゼロになります。さらに発生した赤字は翌年以降に繰り越して、将来の利益から差し引くことで翌年以降の税金を減らすこともできます。

法人税計算の仕組み 総売上(1億W) パン販売の全収入 費用(8千万W) 材料費・家賃・人件費 = 純利益(2千万W) 課税基準(課税標準) % 法人税の納付 実際の利益にのみ課税! 最終純利益 納税後の手残り額 ※利益ゼロなら法人税0円

稼ぎが多いほど高い税率が適用されます

法人税は、すべての企業に一律の割合でかかるわけではありません。街の小さなベンチャー企業と何兆円も稼ぐ大企業が同じ割合で税金を負担するのは、公平とは言えないからです。

そのため法人税には、利益が大きくなるにつれて税率が段階的に高くなる累進課税の仕組みが取り入れられています。利益が少ない企業には低めの税率が適用され、利益が数億円、数十億円を超える大企業にはより高い税率が課されます。

ただし、高い税率は利益全体にかかるのではなく、その基準額を超えた部分にのみ適用されます。例えば基準ラインを少し超えたからといって、稼いだお金全体に一気に高い税率が課されるわけではありません。

また、政府は経済状況に応じて法人税率を見直したり、企業の設備投資や賃上げ、研究開発を後押しするために税額控除(税金の減免措置)を設けて実質的な税負担を軽減したりもします。

法人税の区間別累進税率構造を示す階段グラフ 税率(%) 純利益(課税標準) 9%(2億以下) 19%~200 21%~3千億 24%(3千億超)

もう少し詳しく:帳簿上の利益と税法上の利益の違い

企業が会計帳簿に記録する純利益と、税務署が税金を計算するときの基準となる利益(所得)は完全に一致するわけではありません。会計上は正当な費用とみなされるものであっても、税法上は経費(損金)として認められない項目があるためです。

例えば、会社が社長個人の私用で高級外車を購入したり、領収書のない過剰な接待交際費を使ったりした場合、税法上は経費として認められません。このように、会計上の利益に税法のルールを適用して加算・減算する手続きを税務調整(申告調整)と呼びます。

さらに法人税は、「最終的に誰が負担しているのか」をめぐって経済学者の間でも議論が絶えません。会社が税金を納めていても、最終的には商品の値上げによって消費者に転嫁されたり、従業員の給与アップが見送られたりする形で税負担が分散されることがあるからです。

つまり法人税は、企業という器が支払っているように見えて、実際には株主、従業員、消費者といった社会の構成員全体で分担して背負っていると言えます。

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

法人税は、会社が稼いだ売上全体に対して課される税金である。

✓ 事実

売上全体ではなく、売上から人件費や仕入れ費用、家賃などの必要経費を差し引いた「純利益(所得)」に対して課されます。赤字の年には法人税(所得に対する税金)を納める必要はありません。

✕ 誤解

法人税を引き上げれば、富裕層である大企業の株主だけが税金を多く負担することになる。

✓ 事実

企業が税負担を補うために製品価格を引き上げたり賃上げを抑えたりすると、税負担の一部が消費者や従業員にしわ寄せとして回ることがあります。

🧺 日常で出会う場面

1 年間5億円の売上を上げたものの、経費で4億円を使った会社が、手元に残った1億円の純利益に対して法人税を申告・納税する。
2 創業初年度に研究開発やマーケティングの費用がかさみ、赤字となったスタートアップ企業が、その年の法人税(所得割部分)を0円として申告する。
3 政府が半導体やクリーンエネルギー産業に投資する企業に対し、法人税の税額控除を行い、国内工場への設備投資を促す。
💡 つまり ひとことで

法人税とは、会社が1年間の売上から経費を差し引いて残った「純利益」に対して納める税金です。