定義
韓国の賃金制度で、決められた勤務をすれば定期的に、条件が同じ人に一律に支払うとあらかじめ約束されている賃金です。残業手当や年次手当のように何かを上乗せして支払うとき、その基準となる時給をここから割り出します。実際に受け取った総額ではなく「支払うと約束した分」が基準になる点が特徴です。
手当を測る物差しを先に作ります
長さを測るには、まず物差しが必要です。物差しがなければ「このくらい」という言葉が飛び交うだけで、正確な値は言えません。賃金の世界で、さまざまな手当を測る物差しがまさに通常賃金です。
物差しの作り方はこうです。毎月支払うと約束された賃金を集めて、1か月の所定労働時間で割ると、1時間あたりの金額が出ます。1日8時間・週5日働く人の場合、週休時間(有給の週休日の分)まで足して月209時間を使うことが多いです。
こうして割り出した時給が手当を計算する出発点になります。法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働く時間外労働をすると、この時給に1.5倍を掛けて手当を求めます(常時5人以上の事業場が対象です)。夜10時から朝6時の間に働くと、深夜の割増0.5倍が別にさらに加わり、その時間帯の時間外労働は2倍になります。
ですから物差しが短く作られると、その上に乗る手当もいっしょに小さくなります。通常賃金の範囲をめぐって争いがよく起きる理由です。
どんなお金がこの物差しに入るのでしょうか
物差しに入れるお金を分ける基準は2つです。決まった周期ごとに支払うと約束したか、そして条件が同じ人に同じように支払うと約束したか、です。
基本給は当然入ります。役職に就くとつく役職手当や、資格を取るとつく資格手当のように、条件さえ合えば同じ金額が支払われるお金も入ります。決まった時期に出る定期賞与も、韓国の最高裁判所(大法院)の最近の判断により、含める方向で整理されました。
反対に、その年の業績によって金額がまちまちな成果給は、入りにくいです。あらかじめ約束された金額かどうかが分かれ道です。
食事代や車両維持費のように、性格があいまいなお金もあります。こうした項目は実際にどう支払われたかによって判断が分かれ、争いの常連になります。給与明細についた名前ではなく、実際にどんな約束に基づいて支払われたかを見極める点が大切です。
もう少し正確にいうと:平均賃金と混同しないこと
賃金を測る物差しは1つではありません。通常賃金の隣には、平均賃金という別の物差しが並んでいます。この2つを混ぜて使うと計算がずれます。
平均賃金は、退職する直前の3か月間に実際に受け取った賃金を、その期間の日数で割った金額です。実際に受け取ったお金を振り返る物差しなので、残業が集中した月が入ると値が上がります。退職金は、この平均賃金を基準に計算するのが原則です。反対に残業手当は通常賃金のほうの物差しを使います。年次手当は、就業規則などの定めに従って通常賃金か平均賃金のどちらかを使い、通常賃金を使う職場が多いです。
ただし2つの物差しはつながっています。計算した平均賃金が通常賃金より少なく出た場合は、通常賃金を平均賃金とするよう法で定められています。先を見て約束した物差しと、後ろを振り返った物差し、と分けて覚えると混同しません。
よくある誤解
通常賃金とは、毎月口座に振り込まれる給料の総額のことだ。
実際に受け取った総額ではなく、決まった周期ごとに、条件が同じなら同じように支払うと約束された部分だけを集めた金額です。その月にまとめて働いた残業手当のようにまちまちなお金は外れます。
退職金も通常賃金を基準に計算する。
退職金は平均賃金を基準に計算するのが原則です。ただし、平均賃金が通常賃金より少なく出た場合は、通常賃金を平均賃金とみなすよう定められています。
日常で出会う場面
常時5人以上の事業場で、法定労働時間を超えて1時間余分に働いたときの手当は、通常時給に1.5倍を掛けて計算し、夜10時を過ぎると深夜の割増0.5倍がさらに加わります。
使いきれずに残った年次有給休暇をお金で受け取るときも、就業規則で通常賃金を基準に定めていれば、通常賃金から割り出した時給が基準になります。
つまり ひとことで
月給のうち、決まった周期で、条件が同じなら同じように支払うと約束された部分だけを集めて作る、手当計算用の基準時給です。